カナダに来てなかなか慣れないのが、「チップの習慣」。
●実際は、みんないくらチップを払ってるの?
●味やサービスが悪くても、チップはいるの?
●ホテルやタクシー、美容院でのチップは何%?
●初めてのカナダ・・どうやってチップを払えばいいの?
●サーバーは、一日いくらチップをもらってるの?
・・等々、チップに関する疑問は山ほどあるのではないでしょうか。
今日は、カナダの世論調査や周りのカナダ人からのヒアリングをもとに、「カナダの正しいチップ事情」をまとめてみました。
目次
1.レストランやバーでは、チップを何%を払うべき?
●一番多いのは、チップ「15-19%」
photo from Angus Reid
カナダの世論調査を行う機関Angus Reidの2016年度の調査によると、レストランでのチップを「15-19%」払うと答えた人が一番多く、それに次いで「10-14%」となりました。
「10%以下」「20%以上」と答えた人は、それぞれ10%以下です。
*同調査では、カナダへの短期滞在者や旅行者は対象になっていないことをお忘れなく
●高収入の人ほど、チップも多くなる傾向に
photo from Angus Reid
同世論調査では、高収入の人ほどチップを多く払う傾向があることも報告されています。
世帯年収50,000ドル以下の人は、10-14%のチップを払う人が一番多いですね。ただし世帯年収100,000ドル以上の人でも、20%以上のチップを払う人は4%に過ぎません。
2. チップの渡し方と注意点
●チップの基本的な渡し方(現金/カード払い)
<カード払い>
カード払いの際は、会計額の確認ボタンを押した後に、チップの%や額を入力もしくは選ぶ画面になります。
お隣のアメリカではカードの伝票に直接記入する場合が多いですが、カナダではカード精算をする際の機械にチップを入力して終了となります。
<現金>
現金でチップを払う場合は、チップ込みで支払いをして「お釣りは結構です(You can keep the change.)」などと伝えるか、状況によってはチップを別にして「これはあなたへです。ありがとうございます。(This is for you, thank you.)」と直接サービスを担当してくれたスタッフに渡したり、チップだけをレストランのテーブルに置いて去ることもできます。
●チップの計算方法
カナダでは、税金前(Pre-tax)の金額でチップを計算する人と、税金後(After-tax)の金額で計算をする人に分かれます。
忘れてはならないのは、オンタリオ州でレストランやバーを利用すると、13%の消費税がかかるということ。税金前の金額で計算するかどうかで、チップの額が大きく変わることもあります。
「お酒を沢山飲む場合には、税金前の金額で計算する」というカナダ人も多いようです。
※カード精算の機械で「チップ15%」を選ぶと、通常は税金後(After-tax)の金額の15%となっています。
●チップがお会計に含まれている場合もあるので注意
ホテルのルームサービスや一部のレストランなどでは、チップが予めお会計に含まれていることがあります。
特にレストランで多いのは、“GRATUITY”と呼ばれる、「●名以上でご利用の場合、自動的に18%をお会計に上乗せします」というもの。人数や%はお店によって異なるので、事前にお店に確認をすることをお勧めします。
会計伝票に”Tip” “Gratuity Included” “Service Charge(S/C)”などが含まれている場合、さらにチップを払う必要はありません。
支払い前にレシートをチェックするようにしましょう。
3.ホテル、タクシー、美容院など。サービス&シーン別の平均チップ額
カナダでは、レストランだけでなく、タクシーや美容院などを利用した際にもチップを支払う習慣があります。
いくらチップを払えば良いか迷った場合は、以下を参考にしてみてください。
バー | 15.1% |
コーヒー・ティーショップ | 13.7% |
フードトラック | 13.1% |
ケータリング | 12.6% |
クイックサービス・レストラン | 11.9% |
美容院やマッサージ | 15~20% |
タクシー | 10~20% |
空港やホテルのシャトルバス | 皆がチップを払うわけではないけれど、良いサービスを受けた場合などは2ドルほどが妥当 |
ホテルのルームサービス | 金額にチップが含まれていることが多いが、含まれていなければ15%ほどが妥当 |
ホテルのベルマン | 1つのバッグにつき2~5ドル |
https://www.tripsavvy.com/canada-tipping-guide-1481696
https://globalnews.ca/news/4269109/tipping-best-worst-provinces-cities-in-canada/
4.チップに関する素朴な疑問に答えます
●味やサービスが悪くても、チップはいるの?
こちらは、やはり人それぞれではありますが、サービスの良し悪しによってチップを変えている人が多いようです。
こちらのグラフでは「サービスの質に応じて、前回のレストランでいくらチップを払ったか」を表しています。
photo from Angus Reid
一番右の「平均以下・粗末なサービス」を受けた人は、支払った%の額が他に比べて低く、「チップを払わなかった/覚えていない」と回答した人も17%になっています。
●アメリカよりはチップを払わなくて良いって、本当?
カナダでは、アメリカほどチップが重要視されていない理由をご存知ですか?
その理由の一つに、アメリカの最低賃金がカナダに比べて低いことが挙げられます。
2019年1月時点で、アメリカの最低賃金は一部の州で7.25ドル。アメリカのサービス業で働く人々はチップをもらえることが前提になっているため、最低賃金が低く設定されています。
一方のカナダでは、一番低いノバスコシア州でも最低賃金は11ドル、ここカナダのオンタリオ州の最低賃金は14ドルです。
*オンタリオ州では、レストランやバーなどでお酒を提供するリカーサーバーや学生の最低賃金は別途定められています。
●サーバーは、一日にどれくらいチップをもらってるの?
これからカナダのレストランで働こうか検討している方もそうでない方も、実際にお店の接客スタッフがどれくらいチップをもらっているのが気になりませんか?
カナダの某・人気日本食レストランで働く友人は、「過去数年、チップだけで生活している」と言っていて、仰天したことがあります。
また高級レストラン&バーで働く別の友人は、「一日のチップが100ドル以上になることは普通」とのこと。時給が14ドルだとして8時間働いて112ドル、それに100ドルのチップが加わると単純計算で1日で200ドル以上稼いでいることになります。
普通の企業で働くよりも、チップを含めるとレストランで働いた方が時給が良いことも十分にあり得るカナダでは、サーバーの仕事は高学歴者にも人気です。
以上、カナダのチップ事情をまとめてみました。
いかがでしたか?
チップは、カナダの文化の一つ。
我々日本人にとっては戸惑うこともありますが、サービスに感謝の意を込めて気持ち良く渡したいですね。