カナダでは9月が新年度!8月にはいると買い物やテレビCMなど、色んな所で「Back to school」の文字を見かけますよね。そして、
カナダにお住まいでお子さんをお持ちの方や、駐在などでこれからカナダの学校にお子さんを入学させようとお考えの方!
北米の学校なんてドラマや映画の中でしか見たことないし、どんな感じなんだろう・・・
などなど、日本とはまるで違うカナダの教育制度に戸惑ってしまいますよね。
そこで今回は、日本とは違うカナダの義務教育制度についてまとめてみました!
目次
カナダの学校の特徴
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photo from Ontario Ministry of Education
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photo from British Columbia
カナダには日本の文部省のように国家が学校を運営・管理する機関がなく、各州の教育省に委ねられています。そのため、各州政府が学校を管理運営し、カリキュラムを組んでいます。
●義務教育の年数とグレード
カナダのほとんどの州では、幼稚園(5歳)またはグレード1(6歳)からグレード12(17歳)までを学校に通うことが法律で義務付けられています。
ブリティッシュ・コロンビア州では幼稚園も義務教育にあたります。
グレードとは、日本の「○年生」にあたり、日本のように中学校1年、高校1年という数え方はせず、グレード1からグレード12(小学校から高校)まで通しで数えます。
州・地域によって初等教育、中等教育の呼び方や年数の区切り方が異なります。
photo from Wikipedia
また、オンタリオ州、ケベック州のように、2年間幼稚園に通う地域もあります。
●学校年度の違い
日本では4月から3月までですが、カナダでは通常、9月の労働の日(Labour Day)の次の日から、6月末までを学校年度とします。その間、
- ウィンター・ブレイク(クリスマス・ブレイクとも。12月末から1月上旬までの2週間)
- マーチ・ブレイク(オンタリオ州の場合、3月の中旬頃の1週間。州によって違います。)
- サマー・バケーション(6月末からLabour Dayまで)
を休みとします。
●スクールボード(教育委員会)
カナダの公立学校は、各自治体のスクールボードによって管理されています。
photo from Toronto District School Board via Twitter
オンタリオ州では、ディストリクト・スクール・ボード(District School Board)と呼ばれていますが、
州・地域によっては、
- school districts
- school divisions
- district education councils
などと呼ばれたりもします。
スクールボードでは、学校、スタッフの運営管理や、入学手続きなどを担当しています。
学校の種類
カナダでは、多種多様の教育制度があり、保護者は子どもがどの学校に通うかを選択できます。
●無料の公立学校
photo from Toronto District School Boards
カナダ国籍や永住権を持っていれば、幼稚園から高校までの公立校に無料で通うことができます。
●有料の私立学校
photo from Toronto Life
宗教上の理由や、もっと高度な教育を受けさせたい!お嬢様・お坊ちゃま学校に入れたい!という方は、私立の学校に入れる保護者もいます。
●在宅教育
photo from Independent Learning Centre
いろいろな事情で学校に通うことができない子どもたちに、家庭で義務教育を行うことも認められています。在宅教育のためのオンライン・サービスをやっている会社もあります。オンタリオ州では2万人から4万人の子どもたちが在宅教育を行っています。
●英語学校またはフランス語学校の選択
photo from Vince Talotta via Toronto Star
カナダの公用語は英語とフランス語の二ヶ国語です。そのためバイリンガル(二ヶ国語話者)教育にも力を入れています。オンタリオ州では、子どもがカナダの歴史を理解し、フランス文化を理解する目的で、4種類のフランス語教育を行っています。この4種類のフランス語教育システムについては、一番最後にご紹介しますね。
学校ごとで通う年数が違う?!
日本だと、小学校は6年、中学校は3年、などほぼ全国的に統一されてますよね。
しかし!
カナダでは、特に初等教育の学校(Elementary School)では
- この学区のこの学校はグレード5まで。グレード7からはこの学校に通ってね。
- この学区のこの学校は、幼稚園からグレード8まで同じところに通えるよ!
など、学校によって違うんです!!
時にはグレード4から8とかグレード6までとかの学校もあり、非常にややこしい!!?
そのため学校の名称もPublic Schoolだったり、Junior Public Schoolだったり、Middle Schoolだったり様々!
お住まいの学区の学校が何年制なのか、スクールボードのサイトに載っているので、しっかりチェックしてください!
中等教育(高校)
photo from Toronto District School Board
カナダの中等教育制度は、日本と大きく異なります。オンタリオ州の場合、グレード9からグレード12までが中等教育になります。
●受験がない
photo from いらすとや
高校はカナダでは義務教育のため、一般的には公立の場合、小学校と同じようにスクールボードで決められている学区内の高校に通います。日本のように受験勉強に勤しむ必要がないのがいいですね〜。
●単位制
photo from Gerd Altmann via PEXELS
なんと大学のように単位制なんです!
必修科目では英語(国語)、数学など、選択科目では第二言語、アートなど、修了するのに必要な単位数が決まっており、それを取れてないと卒業できません!
●地域活動
photo from Lucas Oleniuk via Toronto Star
卒業するには普段の授業の他に、40時間のボランティアなどの地域活動をしなければなりません。
こうしてみると、カナダの高校もなかなか大変です・・・。
カナダの学校への入学手続き
photo from Taken via pixabay
日本の場合、4月から3月の間に7歳になる子が小学校に入学しますよね。しかしここカナダはちょっとややこしいので注意。
例えば2018年の9月に入学する場合:
2018年の1月1日から12月31日までの間に5歳(トロントの場合、JK-年少なら4歳、SK-年長なら5歳)になる子どもを入学させる
小学校
2018年の1月1日から12月31日までの間に6歳になる子どもを入学させる
となります。小学校入学は日本よりも1年早くなるんですね〜!
多くの人が幼稚園から入学手続きをします。ほとんどの学校は幼稚園と小学校が同じ建物内にあり、その場合は幼稚園から手続きを済ませていれば、グレード1になった時点で再び手続きをする必要はありません。
トロントの場合、2月から入学手続きを開始します。TDSB(Toronto District School Board)のサイトで、自分の住んでいる学区の学校を調べて、連絡を取ります。入学手続きの際に持っていく書類(出生証明書や予防接種カードなど)を持って、学校のオフィスで入学手続きに関する書類に記入します。
●永住権・カナダ国籍を持ってない場合
子供をカナダの学校に留学させたい・・・
駐在なのでじきに日本に帰る予定だけど、カナダの学校に入れたい・・・
という場合、どうすればいいんでしょう?!
一般的に、カナダ国外の未成年の子供がカナダで就学する場合、就学許可証(学生ビザ)を申請する必要があります。
しかし例外として、
- どちらか一人の親が市民権・または永住権を持っている場合(実子、養子にかかわらず)
- どちらか一人の親が就学・または就労許可証を取っている場合(実子、養子にかかわらず)
- 両親とも物理的にカナダにいない場合
は就学許可証を申請しなくても学校に通うことができます。
詳しくはカナダ移民局や地域のスクールボードにお問い合わせください。
参照:カナダ移民局ウェブサイト – Can a minor child go to school in Canada without a study permit?
フランス語教育の種類(トロントの例)
上記でご紹介したように、カナダでは公用語である英語とフランス語の二ヶ国語です。そのため、フランス語を第一言語とする場合の教育システムや、第二言語としてフランス語を身につけるシステムがあり、4種類のフランス語の教育方法があります。
●第一言語としてのフランス語
photo from Conseil scolaire Viamonde
フランコフォン・スクール(Francophone School、フランス語話者のための学校)とも呼ばれます。授業はすべてフランス語のみで行われます。
子供のどちらかの親が、カナダ国籍または永住権保持者であり、かつ
- フランス語が母国語である、すなわちフランス語が最初に学んだ言語であり、まだ理解することができる
- カナダのフランス語教育機関で初等教育を修了した
- カナダのフランス語の初等・中等教育機関で教育を受けている、または修了した子どもがもう一人いる
以上の条件のどれか一つでも満たしていれば、子どもは無条件でフランス語学校に行くことができます。
●第二言語としてのフランス語
photo from Rob Beintema via Mississauga.com
英語話者のためのフランス語教育です。学校の授業や宿題はフランス語ですが、自宅でフランス語を話す必要はありません。
グレード4〜グレード12
すべての英語の学校で必修となっています。科目の一つとしてフランス語を学び、毎日約40分をフランス語の授業時間に費やします。日本の英語教育とほぼ似たようなイメージです。
グレード4〜グレード12
総授業時間の50%ををフランス語で学びます。このプログラムは、フランス語、芸術、社会科をフランス語で、英語、数学、科学、体育を英語で学びます。
年長(SK)〜グレード12
グレード3まではすべての授業をフランス語でやりますが、専門科目は英語で教えることもあります。 英語での授業はグレード4から徐々に導入され、グレード12までには英語とフランス語の授業がそれぞれ50%ずつの割合になります。
ただし、エクステンド・フレンチまたはフレンチ・イマージョンを受けられる学校の数は非常に限られており、教育熱心なご家庭にも人気があるため、倍率も高くなっています。もし子どもが通う地域の管轄外の学校である場合、定員オーバーで簡単には入ることができないというのが現状。
ケベック州の教育制度
photo from Patrice_Audet via pixabay
ケベック州は、他のカナダの州とはかなり異なる、独自の教育制度を運営しています。
●グレード
ケベック州の教育は、
- 初等教育(Elementary Education) グレード1からグレード6
- 中等教育(Secondary Education) グレード7からグレード11
- カレッジ(College Education、またはCEGEPとも呼ばれる) 2年
- 大学(University Education) 3年から4年など
の4段階に分かれており、義務教育はグレード1からグレード11までで、他の州より1年早く終えます。
●学校で使用する言語
photo from Rawpixel.com via Freepik.com
ケベック州では、フランス語憲章(ケベック州では公用語をフランス語のみとする法律)の下、幼稚園から中等教育まではフランス語で教えます。
ただし、
- ケベック州に永住しており、英語で指導を受ける資格のある子ども
- ケベックに永住しており、特別な許可を得て英語で指導を受ける資格のある子ども
- 一時的にケベック州に住んでおり、一時的に英語での指導を受ける資格がある子ども
以上の条件を満たす子どもは、英語で指導が受けられます。
そしてその英語で指導を受ける資格の対象になる条件というのが、
子供のどちらかの親がカナダ国籍であり、かつ
- 子ども本人が、カナダで英語での初等・中等教育の大部分を受けた。
- 子ども本人の兄弟または姉妹が、カナダで英語での初等・中等教育の大部分を受けた。
- 子ども本人の親が、カナダで英語での初等教育の大部分を受けた。
- 子ども本人の親が、1977年8月26日以降にケベックの学校に在籍し、その時に英語での指導の対象になると宣言されていた可能性がある。
というものです。
本人の親が永住権ではなく、カナダ国籍を持っていなければならないというのが重要なポイントですね。
ケベック州で英語で義務教育を受けるには高い壁があるようです。
●職業訓練
中等教育でグレード9またはグレード10を修了した後、職業訓練プログラムに登録することができます。この職業訓練プログラムは、労働市場に直結するもので、修了した生徒には、
- Diploma of Vocational Studies/DVS 職業訓練卒業証書
- Attestation of Vocational Specialization/AVS 専門職業訓練証明書
- Skills Training Certificate STC 技能訓練証明書
といった修了証書が授与されます。
●CEGEPとは
photo from Fédération cégeps via Twitter
義務教育からは外れますが、ケベック州の教育制度を語る際に外せない、CEGEPというシステムについてご紹介します。
CEGEP(英:シージェップ / 仏: セジェップ)は、Wikipediaによると、
カナダ・ケベック州特有の学制に基づく大学基礎教養機関(所謂 予科大学)である。
となっています。
高校を卒業したあとに大学(University)に行くための予備校みたいなものとイメージしていただければわかりやすいと思います。カナダでもケベック州のみにこの制度があります。
●CEGEPの授業料
カナダ国籍や永住権を持つケベック州の住民に限り無料で通うことができます。
ケベック州以外のカナダ在住のカナダ国籍または永住権保持者、または留学生は、授業料を払う必要があります。
まとめ
というわけで、いかがだったでしょうか。多文化のカナダは、日本の義務教育とはシステムがかなり異なりますが、なんとなくカナダの学校はこんなもんなんだなぁとわかっていただけたかと思います。
また、カナダと日本の学校との違いについてもまとめているので、こちらの記事↓もぜひ参考に!