【トロント・ビジネスパーソン:第2回 】みずほ銀行カナダ支店 柏原翔さん

  

トロントのビジネス界でご活躍されている皆さんへのインタビューを通じて、生の声をお届けしている「トロントの気になるあのビジネスパーソン!」

シリーズ第2回となる今回は、みずほ銀行カナダ支店さんのオフィスへお伺いし、同社でVice Presidentを務めていらっしゃる柏原翔さんにインタビューをさせて頂きました!

「一度、外から日本を客観視したい。」海外転勤を志願、家族でトロントへ

-みずほ銀行カナダ支店さんの業務内容を教えてください。

みずほ銀行のカナダ支店として、日系・非日系の法人のお客様に対して、預金・融資・為替などを中心とした、総合的な金融サービスをご提供しています。カナダ支店としてはトロントを母体とし、カルガリーにも営業拠点を有しています。

全従業員数は2017年現在およそ3万人。日本国内はもちろん、全世界にネットワークを持つ。

カナダ支店の従業員数は約50名で、日本からの駐在員は私を含めて5名ですが、現地採用の方なども含めると、日本人の人数は15名ほどになりますね。

−柏原さんの現在されているお仕事と、日本での経歴についても教えていただけますか?

私は日系営業課という部署に所属していまして、トロントを中心としたカナダ東部エリアの日系企業様を主に担当しています。みずほ銀行には2007年に入行しまして、最初の2年間は横浜市内の支店で中小企業の方々への営業活動をしていました。

オフィスのあるKing駅周辺はトロントのビジネスの中心地。高層ビルが軒を連ねる。

その後、コンサルティング業務を行う部署に異動となりまして、そこではおよそ3年ほど仕事をしました。その後、本店営業部で4年ほど営業業務に携わった後、2016年の10月より、現在のカナダ支店に配属となりました。

−カナダ支店への配属は、御自身で希望されたのですか?

本店営業部で担当していたお客様には海外拠点を持つ企業様も多かったので、海外出張で中国やインドへ行く機会もありました。海外で仕事をする中で、「海外経験を積む必要性」というものを強く感じるようになりましたし、「一度外から日本を客観視したい」という思いも個人的にありました。

30歳を過ぎ、日本だけに留まるのではなく他文化に自分の身を置いてみたいと思い、海外異動の希望を出しました。

当時の上司との面談では、「シンガポールか欧米に行きたい」という希望を出しました(笑)北米・カナダという意味では、希望を叶えて頂いたわけなんですが、正直最初は「えっ?カナダ…?」って思いました。当時はカナダについて、「メープルシロップが有名で、大自然のある平和な国」という表層的なイメージしかありませんでしたからね。

−実際にカナダにいらっしゃって、その印象は変わりましたか?

大きく変わりましたね。確かにアメリカなどに比べると市場規模は小さいですが、自動車資源を中心に安定したマーケットを形成しています。カナダには妻とまだ2歳だった息子と一緒に来ました。海外で生活をしていく上で治安や教育面での不安はつきものですが、カナダでの生活をとても気に入っています。

−カナダで仕事をされている中で、日本で働いていた時との違いを感じることはありますか?

こちらではジョブ・ディスクリプション(職務記述書)というものが大変重視されていて、各々の役割が明確に定義されていると感じます。

あとはやはり「ワークライフバランス」という考え方が、文化として根付いていますね。「その仕事は本当に今日しなければならないのか?」という考えが根本にあって、それが急を要するものでないのであれば仕事を終え、心の充実を図った上で明日からの仕事を全力で!というスタイルは、個人的にとても良いと思っています。

-海外で生活・お仕事をされる中で、英語についてはどうされていますか?

英語に関しては、いわゆる受験英語だけです。(笑)苦労しながらも日々手探り状態でやっていますが、英語でのコミュニケーションについて一番良く思うのは「1日も早くプライドを捨てること」ではないかと思います。文法がめちゃくちゃで、単語を繋げるだけであっても、熱意を持って話すことで、思いが相手に通ずるということは多いです。

国籍や言語に違いはありますが、同じ”人間”であるということには変わりありません。そういった意味では、あまり言語というのは気にする必要はないのかな?と思っています。

他文化を受け入れ、尊重する。カナダで再認識した日本という国の素晴らしさ

−ここからは柏原さんのプライベートの部分についても教えてください。トロントに来てから、お休みの日はご家族でお出かけになることも多いですか?

平日はなかなか時間を取ることが出来ませんが、休日は家族で過ごす時間と決めています。夏場はトロントアイランドで過ごす時間がとても好きですね。すごくキレイな場所であることはもちろんですが遊園地なども併設されていて、息子も楽しんでくれています。そこにいるだけで癒やされる、お気に入りの場所です。

ダウンタウンからフェリーで15分ほどに位置するトロントアイランドは人気の観光スポット。

トロントから少し行くと、”見渡す限りの大平原”の様な場所を簡単に見つけることが出来ます。今年も雪が多く降りましたが、雪山で思いっきり転げ回って遊ぶ、という経験は日本では中々することが出来ない、カナダならではの体験だと思います。

カナダ国内ではモントリオールとオタワ、それからニューヨークとメキシコのカンクンにも3人で家族旅行をしました。日本からだと中々行きづらい場所にも簡単にアクセスできるのも、北米・カナダの魅力ですね。

−日本からの駐在員の方も多く住まれているノースヨークエリアにお住まいとのことですが、トロントでの暮らしはいかがですか?

衣食住、あとは医療・教育という面で考えても、これといったトラブルや問題が無いと言っても過言ではないくらい、快適に暮らしています。

冬場、妻がベビーカーを押し歩いていると「寒くない?」と言ってコートを貸してくださったり、横断歩道を渡っていた時にはわざわざ車を止めて、一緒にベビーカーを運んでくれたりということもありました。日本に比べてカナダでは人と人との距離感が近く、多様な文化と個々人の幸せを尊重し、分かち合うという側面が強いと感じます。

息子は昨年の秋から、モンテッソーリ・プログラムを導入しているプリスクールに通っています。子ども達の五感を刺激しながら、自主性を育てるという教育方針なのですが、「自ら考え、何かを成し遂げる」という体験を通じて絵を描いたり、粘土の作品を作ったり。とても楽しんでやっていますね。

photo from モンテッソーリ教育総合研究所

1900年代にマリア・モンテッソーリにより提唱されたモンテッソーリ教育法。将棋界の藤井聡太六段がモンテッソーリ教育を受けたとことで、日本でも注目されている。

通っているお子さんも様々な国籍やバックグラウンドのある子達ですので、他文化を受け入れ、尊重するという経験ができるという点においても、素晴らしい環境であると思います。

−柏原さんご自身の、趣味などはありますか?

職業や年齢を問わず、極力多くの人との交流を図るようにしています。アメリカとは違い、トロントの日本人コミュニティというのは規模もそこまで大きくありませんので、みなさんと仲良くなり易いという特徴があると思います。一方で、せっかく他文化の国であるカナダに来たわけですから、国際感覚を身につけるという意味でも日本人以外のみなさんとの交流の場というのも大事にしています。

トロントはマルチカルチャーと言われていますが、カナダに来て以来、公私で私が接点を持ったみなさんのバックグラウンドは20カ国を超えています。私の住んでいるノースヨークエリアにも、アジアの方々が非常に多く住んでいらっしゃいます。その中でも、中国系カナディアンのコミュニティの方々とは非常に親しくさせていただいていて、火鍋などを囲みながら色んなことを語り合ったりしています。お互いの文化、母国に対する考え方を話すことも多いですし、目を輝かせながら日本の素晴らしさを語ってくれる方もいらっしゃいます。

そういった交流を通じて、日本という国のプレゼンス、素晴らしさを再確認することも多いですし、日本と中国の2国間だけに限らずアジア諸国、ひいては世界各国と日本が今以上に連携を図り、協力できることがあるようにも感じています。

−トロント生活もまもなく1年半となりますが、オススメのレストランなどはありますか?

住んでいるノースエリアの近くにある、Zen Japanese Restaurantさんがお気に入りです。公私ともによく利用させて頂いていて、スタッフの方にもいつもとてもよくして頂いています。

Zenが提供する本格的な日本料理は、日本人はもちろんカナディアンからも高い支持を得ている。

あとは、先ほどお話しした中国系カナディアンのみなさんと楽しむことが多い火鍋もお気に入りですね。

−最近読まれた本や映画、音楽などで印象に残っているものはありますか?

学生時代は小説をよく読んでいました。村上春樹さんの作品は現実と幻想が混じり合った独特の世界観を物語の中で体現していて、とても好きです。私の人生観や価値観に大きな影響を与えてくれたという意味では馳星周さんですね。恐らく全作品読んでいると思います。

photo from 角川書店

東京を舞台に繰り広げられる中国人マフィアの抗争を描いた、馳星周の名作「不夜城」がお気に入り。

トロントに来てからは、地下鉄でインターネットが繋がらないことが多いですので、その時間を利用して東洋経済を読んでいます。もし地下鉄で東洋経済を読んでいる人がいたら、それは私です。(笑)最近は特にビットコインに代表される仮想通貨やフィンテック、人工知能(AI)といった分野のニュースを注視するようにしています。

photo from 東洋経済

全世界的に話題となっている仮想通貨など、情報収集の為にも東洋経済は欠かせないという。

音楽も私にとっては切っても切り離せないものでして、世界中の音楽を聴いています。私自身も中学2年生の頃から大学を卒業するまでバンド活動をしていました。社会人になってからはLogicというソフトを使って作曲をしています。これは私にとって日記の様なもので、その時々に感じた思いや感情を言葉ではなく音として記録しています。かれこれ今までに20曲ほど作曲しました。

2010年に36歳の若さで急逝した日本人アーティスト、Nujabesが昔からのお気に入り。

“北米の感覚”を研ぎ澄まし、世界で認めらる銀行員に

−最後に 柏原さんの今後の目標を教えてください。

まずは、世界中どこに行っても認められる銀行員(バンカー)になりたいと思っています。カナダで体得している北米の感覚というものを研ぎ澄まし、いずれはアメリカでビジネスをしてみたいという思いもあります。

プライベートの面においては、国籍問わず誰とでも仲良く接することが出来、「お前はFunnyだな!」と言ってもらえる様な人間になりたいと思っています。最近、それが私にとっての一番の褒め言葉であると気づきました。(笑)

柏原 翔(かしわばら しょう)さん
 
1984年 東京都大田区出身。2007年に慶應義塾大学を卒業後、株式会社みずほ銀行に入行。
東京都内、横浜市内で大企業を中心としたお客様への営業業務に従事した後、2016年10月よりカナダ支店に駐在員として赴任。現在はご家族でトロント在住。

◆みずほ銀行 カナダ支店
株式会社みずほ銀行のカナダ現地法人として、1981年に設立。カナダ国内の拠点としてはトロントの他、カルガリーに出張所がある。従業員数約50人、うち日本からの駐在員は5名。日系・非日系企業を問わず、預金・融資・為替などのサポート業務全般を行なっている。
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