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最低賃金引き上げも!2022年に執行されるオンタリオ州法律・法案まとめ 8

  

ここ数ヶ月間、オンタリオ州政府は新型コロナウイルスの影響による労働者や企業への対応として、さまざまな法改正案を可決してきました。

そこで、オンタリオで暮らしていく上で押さえておきたい、2022年から始まる新しい制度や現在提出されている法案をまとめてみました。

1. 最低賃金が$15に引き上げ!

最低賃金が$15に引き上げ!

2022年1月1日(土)から、オンタリオ州の最低賃金が$15に引き上げられます!

これは新型コロナウイルスの拡大による物価上昇にちなんだもので、2021年10月から適用されている$14.35よりも、さらにに65セントの大幅値上げとなります。

これによりフルタイムの最低賃金で働いている人は、年間$1,350も収入が増えるという計算になります。

また一般労働者に含まれていない場合でも、それぞれ賃金が引き上げられます。

18歳未満の学生:
学期中に週28時間以内、または夏休み・冬休みなど学校の休み期間に働く場合: $13.50 → $14.10

ホームワーカー: $15.80 → $16.50

狩猟・釣りのガイド:
1日の連続労働時間が5時間未満の場合: $71.75 → $75
5時間以上の場合: $143.55 → $150.05

リカーサーバー(お酒を提供する飲食店のサーバー): $12.55 → $15

サーバーに関しては、今までチップを貰うことで一般の最低時給より低い賃金が設定されていましたが、チップの合計が他のスタッフにも分配されるということが増えスタッフの生活が維持できなくなったことから、一般労働者と同じ$15に大幅に引き上げられました!

2. 退勤後の雇用主からの連絡が違法に?

上司や同僚からの勤務時間外の連絡が違法になる!

仕事が終わったあとの上司からのメールや電話連絡から解放されるかも?!

11/30(火)にオンタリオ州で可決された「Working for Workers Act, 2021(労働者のための労働法 2021)」で、

従業員25人以上の雇用主に対して、退勤後の業務からの切り離しに関する方針を文書化すること

を義務付けました。

これによりオンタリオ州の労働者は、自身のメンタルヘルスと家族との時間を優先させることができるようになるとのこと。

ポリシーには、

退勤後、

  • 仕事上の電子メールに返信・送信しない
  • 電話やビデオ通話に応答しない
  • 仕事関連のメッセージを送らない

ということが含まれる可能性があります。

3. 一時帰休労働者への支援を延長

一時帰休労働者への支援を延長

オンタリオ州政府は新型コロナウイルスの影響による一時帰休労働者への支援期限を、当初の予定である1/2(日)から7/31(日)まで延長することを発表しました。

雇用主はこれまで、支援期限を過ぎたら従業員を職場へ呼び戻すか、または退職金を払って依願退職してもらうということになっていましたが、これにより雇用主は、従業員に疾病手当が支払ったあと120日以内に勤労者所得補償給付制度(Worker Income Protection Benefit Program)に申し込むことができます。

4. 退職後の競合他社での転職が可能に!

退職後の競合他社での転職が可能に!

企業によっては、退職後に一定の期間内に競合他社での転職や起業を制限する「競業避止義務」を課しているところがあります。

オンタリオ州政府は、労働者がキャリアを積んでより多くの収入を得られるよう支援するため、労働者にとって不当な制限である競業避止義務を禁止することを発表しました。

ただし例外があり、雇用主は以下と競業避止契約を結ぶことができます。

1. 最高経営責任者、社長、最高総務責任者、最高執行責任者、最高財務責任者、最高情報責任者、最高法務責任者、最高人事責任者、最高経営企画責任者などの幹部
2. 事業の一部を売却した者が、売却後直ちに買主の従業員になった場合

5. トラック運転手や配達員が配達先の企業で洗面所を利用できるようになる!

トラック運転手や配達員が配達先の企業で洗面所を利用できるようになる!

宅配便業者、トラック運転手、フードデリバリーサービスなどの配達員は、配達先の企業で洗面所の利用を拒否されることが多いと指摘されていました。

しかし今回の法改正でその問題が改善されます!

モンテ・マクノートン労働・訓練・技能開発大臣によると、

Workers who deliver and pick up goods have been on the frontlines of the pandemic, ensuring that essential supplies continue to reach the people of Ontario. Providing these hardworking men and women with access to washrooms is a small change that will make a big difference, so they can do their jobs with the dignity and respect they deserve.

Monte McNaughton, Minister of Labour, Training and Skills Development

意訳: 「物資の配達や集荷を行う労働者は、パンデミックの最前線に立ち、必要な物資がオンタリオ州の人々に届き続けることを保証しています。これらの勤勉な労働者に洗面所を提供することは、小さな変化ですが、大きな違いを生み、彼らがふさわしい尊厳と敬意をもって仕事をすることができるようになります」

モンテ・マクノートン労働・訓練・技能開発大臣

と述べています。

6. 自国で専門職の訓練を受けていた人は、カナダでの実務経験なしで技術免許を取得できるようになる!

自国で専門職の訓練を受けていた人は、カナダでの実務経験なしで技術免許を取得できるようになる!

今まで出身国で専門職に就いていた人でも、カナダで実務経験を積んでいないとカナダでの技術免許が取得できずに就職するまで多大な労力がかかる、という問題がありました。

オンタリオ州は、自国で専門的な職務についていた高スキルな移民がカナダで働く場合、今まで技術免許を取得するのに必要だったカナダでの就労経験要件を撤廃することを発表しました。

また法案には、

  • 英語・フランス語の公用語能力試験、職業免許取得試験など、カナダで就業するための度重なる試験への負担を減らす
  • 今回のパンデミックのように特定の職業が緊急に必要とされる事態が発生した場合、応募者がその職業に迅速に採用されるようにする
  • 国際的な訓練を受けた移民が自分の技能に合った職業で働き始められるように、免許取得プロセスが適時に完了するようにする

とういうことが盛り込まれています。

オンタリオ州は専門的技能保持者の例として、

エンジニア
建築家
配管工
電気技師
会計士
ヘアスタイリスト
教師
幼児教育専門家

などを挙げています。

7. レストランやバーで販売されるアルコールの卸売価格が値下げ

レストランやバーで販売されるアルコールの卸売価格が値下げ

オンタリオ州は、酒類販売免許を持つバー、レストラン、その他の事業者を支援する目的で、アルコールの卸売価格の値下げビール税の凍結のほか、酒類販売認定食料品店からのビール、ワイン、サイダー類のカーブサイドピックアップができるようにすると発表しました。

卸売価格の値下げについては、酒類販売免許保有者がLCBOからアルコールを購入する場合の割引率を10%に増やしサイダー、ワイン、スピリッツの6%の値上げが廃止されます。

これにより酒類販売免許を持つバー、レストランは、HSTの回収およびコンテナのデポジット料金と組み合わせると、LCBOから卸売りで購入したアルコールは、小売価格に比べて実質的に20%安く仕入れることができるようになります。

ただし樽のビールまたはサイダーには10%の値下げは適用されません。

ビール税は毎年消費者物価指数に基づき毎年調整されており、3年連続の凍結となります。

これにより、LCBOで販売されているビールも含めて2023年3月1日まで税率が上がることはありません。

8. ステイケーションでの滞在費がタックスリターンの対象になるかも!?

ステイケーションでの滞在費がタックスリターンの対象になるかも!?

また上記の法改正に加え、オンタリオ州では新たな滞在税額控除も提案中とのこと!

その内容というのが、

2022年の1月1日から12月31までの間にオンタリオ州内の宿泊施設を利用した場合、トータル宿泊費に対して宿泊費の20%をタックスリターンとして申請できるようにする

というもの!

個人: 最大$1000までの宿泊費で$200
家族: 最大$2,000までの宿泊費で$400

が返ってきますよ。

オンタリオ居住者は2022年のタックスリターン時に、以下の条件を満たした宿泊費を計上することができます。

  • ホテル、モーテル、コテージ、キャンプ場など、対象となる宿泊施設に1ヶ月未満の期間で滞在した場合
  • 2022年1月1日から12月31日までの宿泊が対象
  • レジャー目的の宿泊(ビジネス目的は対象から外れます)
  • オンタリオ州税申告者、その配偶者または内縁のパートナー、またはその子供が、詳細な領収書に記載されている通りに宿泊費を支払った場合
  • 友人や雇用主を含むいかなる人物からも、納税者、その配偶者、内縁のパートナー、またはその対象となる子供に払い戻されたものではないこと

20%はかなり大きい額ですし、もしこの法案が通れば観光業の活性化にも繋がりそうですよね!


以上2022年に変わる法律・現在提出されている法案をまとめました。

依然として猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、これらの法改正・法案によってさらに暮らしやすく、働きやすくなることが期待されますね。

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