2017年6月に行われた※NHLのドラフトでカナダのチーム、エドモントン・オイラーズ(Edmonton Oilers)から指名を受けた※WHL、スポケーン・チーフス(Spokane Chiefs)のカイラー・ヤマモト(Kailer Yamamoto)選手。
photo from NHL.COM
「ヤマモト」という名前を聞いて「えっ!日本人!?」と思われた方も多いのではないでしょうか?
このカイラー・ヤマモト選手、NHLドラフト史上(1巡目で指名された中で)最も身長が低い選手なのですが、それを全く感じさせないプレーでプロのスカウトの目を釘付けにしました。
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彼のプレーは取材をしているWHLやジュニアの世界選手権などで見ていたのですが、今回、私 Kiyomi がカイラー・ヤマモト選手に生い立ちや自身の事について直接お話を伺ってきました!!!!
photo by Derek Guscott
プロアイスホッケーリーグのことで、アメリカ24チーム、カナダ7チームの合計31チームが所属している
※WHL(ウェスタンホッケーリーグ)
15〜20歳までの選手を対象にしたホッケーリーグで、「ジュニアの最高峰」と言われている
カイラー・ヤマモト プロフィール
photo from Spokanechiefs.com
カイラー・ヤマモト #17
生年月日:1998年9月29日(19歳)
出身地:スポケーン、ワシントン州(アメリカ)
身長:5’8(173cm)
ポジション:ライトウイング
ヤマモト選手などの若い選手はドラフトを受けてもすぐにNHLに行くのではなく、通常キャンプに召集されNHLの選手たちとトレーニングに参加し、ゲームに出場するなど経験を積み、そしてまた元のチームに戻されて更に自分のスキルを高めます。ヤマモト選手は現在所属しているWHLチーム(スポケーン・チーフス)に戻り、再びオイラーズのキャンプに参加する予定です。
「ヤマモト」ファミリーのルーツ
インタビュー:キヨミ カイラー・ヤマモト選手:Kailer
キヨミ: 少しバックグラウンドについて聞かせてもらっていいですか?
Kailer: 僕のおじいさんがジャパニーズ、僕のお父さんがハーフジャパニーズ、ハーフハワイアンなんです。
キヨミ: 日本へは行ったことあるの?
Kailer: いや、実はないんですよ。僕の行きたい国トップリストは日本とハワイなんだ。
キヨミ: おじいさんから習った日本語とかある?
Kailer: おじいさんは僕が9歳ぐらいの時に亡くなってしまって、あまり覚えてないんです。僕のお父さんとおじいさんは僕の前では日本語で話さなかったというか(アメリカに住んでいて)話す環境になかったので英語で会話をしていました。
あ、でも「こんにちは」は覚えてるよ。
ホッケーを始めたきっかけ
キヨミ: ホッケーを始めるきっかけは?
Kailer: 僕には2歳年上の兄(Keanu)がいるんだけど、兄といとこがホッケーをやっていて、それで僕も始めたんだ。
初めて氷の上に立ったのは兄が1歳9ヶ月、僕は1歳10ヶ月の時だったんだ。
キヨミ: (アメリカ出身のカイラーさんですが)
アメリカではホッケーよりむしろアメフトとかバスケの方がメジャーだと思うし、カイラーさんも実際他のスポーツもやってたそうですが、それでも自分の興味は必ずホッケーに戻ってきたそうですね。なぜホッケーが特別だったの?
photo by Derek Guscott
Kailer:ホッケーはとても(精神的にも肉体的にも)ハードなスポーツだけど、ホッケーに対する情熱、心の中に湧き上がる感情、プレーの激しさ、それから小さい時には家族と、そして大きくなった今ではチームメイトと遠征する時のワクワク感、、、、。全て他のスポーツでは得られる事ができないものを感じたんだ。
I fall in love with Hockey.(とにかく僕はホッケーに夢中なんだ)
あのスーパースターに会った瞬間のこと
キヨミ:ドラフトで※ウェイン・グレツキー(Wayne Gretzky)に会った時のことを聞かせてもらっていい?
Kailer: Oh,my god……
もう、興奮しすぎて記憶がないんだ。グレツキーと握手した時「うわっ!グレツキーと握手してる!」って思った以外の記憶が飛んじゃったよ。
あの日、オイラーズの選手たちも同じホテルに泊まっていて、朝までホッケーの話をしたんだ。もう本当に最高だったよ。
その頭が真っ白になったドラフトの映像がこちら⬇︎彼の人懐っこさが分かる映像です。
キヨミ: ところで好きなホッケーチーム・選手は?
Kailer: 僕の好きなチームは※ピッツバーグ・ペンギンズ(Pittsburgh Penguins) ずっと※シドニー・クロスビー(Sidney Crosby)の大ファンなんだ。
※ウェイン・グレツキー
カナダ、オンタリオ出身の元NHLプレーヤー。
「ホッケー史上最も優れた選手」と呼ばれる、いわばレジェンド。
オイラーズでは1979-1988年にプレーしている。
※ピッツバーグ・ペンギンズ
アメリカ・ピッツバーグを本拠とするNHLのチーム。
2017年のスタンレーカップでは2016年に続き2年連続で優勝。
※シドニー・クロスビー
ピッツバーグ・ペンギンズのキャプテンであり、ペンギンズといえばこの人なしには語れない大・大・大スター選手。
カナダ出身で2010年(バンクーバー)、2014年(ソチ)のオリンピックではカナダ代表として、いずれも金メダルを獲得。
これから先の夢に向かって
キヨミ:オイラーズのキャンプに参加して今WHLでプレーして、またオイラーズに戻ることになると思うけど、戻るにあたって自分の課題は何だと思う?
Kailer: 細かいところの積み重ねだと思っています。
ショット、強さ、速さ。あとNHLの選手たちはみんな6フィート(180cm)以上で僕より大きいし、体も作っていかないと。
photo by Derek Guscott
次にオイラーズのキャンプに参加する時には、初めて参加した時より経験と自信がついてるからもっといいパフォーマンスができると思うし、チームをより良くできると思っています。
夢を追う子供たちや困難に立ち向かう全ての人へ
キヨミ:そう言えば、日本人で天才ホッケー少年と呼ばれているアイト・イグチ(井口藍仁)っていう名前聞いたことある?
Kailer: あっ!名前は覚えてないんだけど日本人の男の子ですごくホッケーがうまい子の映像を見たよ。その子の事かな〜?
キヨミ: 私は彼の事をWHLのスカウトから聞いたんだけど、スキルを上げるためにカナダのジュニアチームにいるらしいのよ。
Kailer: おお!!それは素晴らしいね!!
オイラーズのファンにサインをするヤマモト選手。この日はオイラーズのユニフォームを着たファンも多く見られた。
photo by Derek Guscott
キヨミ: そういう夢を追う子供たちや、あたなのように夢に挑戦している人たちにアドバイスがあれば是非!
Kailer: とにかく「絶対にあきらめない事」。そして、そのために惜しまず努力をし続ける事。Hater(自分を悪く言う人。嫌う人)に耳を貸さない事。
僕も(身長のことで色々言われたり)Haterと戦ってきたけど、自分の意思をしっかり持って貫いてきたんだ。
だから自分を見失わず絶対に夢をあきらめないで欲しい。
カイラー・ヤマモトの魅力
WHLのスカウトマン、ランディーさんにプロから見た彼の魅力について聞いてみました。
彼はパワーで押すタイプではなく「技術で魅せる」選手だと思うね。
技術は言うまでもないけど抜群のセンスがあって頭がいい。
彼は常に、どう相手に切り込むか頭の中に試合展開ができてるんだ。
そこにオイラーズは惚れたんだと思うよ。
こちらは1月24日のバンクーバー・ジャイアンツとの試合で2得点を決めたヤマモト選手。素早い動き、反応の良さに注目してみてください。
.@kailer_yamamoto since returning from World Juniors:
Games: 6️⃣
Points: 1️⃣4️⃣
Goals: 6️⃣
Assists: 8️⃣#GoChiefsGo pic.twitter.com/jSIbiV1Jkc— Spokane Chiefs (@spokanechiefs) January 25, 2018
最後に
アイスホッケーに限らず、プロスポーツ界は競争が激しくトップと呼ばれる選手は一握りです。私は仕事柄、様々なスポーツ選手に会う機会があるのですが私が一番ドキドキさせられるのは彼ら、彼女らのオフからオンになった時の「スイッチが入った瞬間の顔」です。
photo by Derek Guscott
ヤマモト選手もウェイン・グレツキーやシドニー・クロスビーの話をする時には子供のような無邪気な笑顔を見せてくれていましたが、今後の自分の課題の話になると一変。ただ真剣なだけでなく、その表情の中には「絶対にNHLでプレーする」という覚悟を感じて、鳥肌が立ちました。
photo by Derek Guscott
ヤマモト選手も言っていたように「絶対に夢をあきらめない」姿が人々を感動させ、子供たちに勇気を与えるのだと思います。
これからもその真っ直ぐ夢に向かう姿を応援していきたいと思います。
そして、オイラーズでの彼の勇姿が見られる日を楽しみにしています!!
カイラー・ヤマモト選手がんばれ!!!!!
We love you Kailer Yamamoto !!!!!
photo by Derek Guscott