
(トロントの駅で配布されていたCUPE 2のチラシ)
カナダ・トロントの公共交通機関を運営する Toronto Transit Commission(TTC)で、労使交渉を巡る緊張が高まっていて、2026年FIFAワールドカップ開催を前に、交通への影響が懸念されています。
今回交渉を行っているのは、カナダ公共労働組合 CUPE Local 2で、TTCの信号・電気・通信設備などを担当する約700人の組合員を代表して、TTC側との新たな労働協約を巡って対立しています。組合側は、生活費高騰に見合う賃上げや労働条件改善を求めています。
今週末にTTCは合法的にロックアウトを行うことができる立場となり、CUPE2組合員の業務を妨害することで、労働争議を激化させる可能性があります。
同様に、組合側も法的にストライキを行うことができる立場となり、今週末からストに突入する可能性があります。CUPE 2のスミット・グレリア会長は、大会前に交渉が合意に達することを期待していて、まだ時間は十分にあると述べています。
トロントでは2026年6月12日にFIFAワールドカップ2026初戦が予定されており、市内交通を支えるTTCの安定運行は大会成功に向けた重要課題のひとつとされています。
組合側は、「ワールドカップ前だからこそ圧力をかけているのではないか」という見方に対して、「FIFAワールドカップを交渉材料として利用するつもりはありません」「組合員は、契約が今年満了することや大会が開催されることを望んだわけではありません。たまたま同時期に開催されただけ」としています。
もう一方で、TTCのラリCEOは、5月12日の声明で「TTCはCUPE Local 2に所属する700名の高度な技能を持つ電気技師と、敬意と建設的な対話を通じて、公正かつ財政的に持続可能な協約の締結を目指しています。」と述べています。
また、組合の現在の提案は、協定期間中に約4,000万ドルの追加費用が発生し、CUPE Local 2組合員が既に獲得している公共部門の給与・福利厚生において最高水準にある報酬パッケージに上乗せされるとのことで、TTCの財政的に負担可能なレベルではないようです。
オンタリオ州のダグ・フォード首相は、6月の大会開幕前にTTCと組合が冷静さを取り戻して、ストライキを回避するよう強く求めています。また、「交渉よりも、開催地であるトロント市民とトロントのことを優先すべきだ」と会見で語っています。
SNS上では、「ワールドカップ直前のストは避けてほしい」という声がある一方、TTC労働者にとって大規模イベント前は数少ない交渉力になるといった意見もあるようです。
合意に至らなければ、早くて5月16日(土)からTTCの運行に影響が出てくる可能性があります。両者納得の上での迅速な解決が求められています。
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