オンタリオ州2026年度予算で知っておきたいこと2つ。中小企業の法人所得減税&新築住宅購入者へのHSTリベート

  

2026年3月26日(木)、オンタリオ州のダグ・フォード州首相が2026年度の予算を発表しました。

その中で、トロントなどオンタリオ州に滞在する私たちにとって特に注目したい内容が2つあります。今回は、2026年オンタリオ州予算に含まれている中小企業の法人所得減税新築住宅購入者へのHSTリベートについて紹介します。


中小企業の法人所得、3.2%から2.2%に減税

オンタリオ政府は州内の中小企業への支援を継続するため、2026年7月1日より、オンタリオ州の中小企業の法人所得税が3.2%から2.2%に下がることを提案しています。

この減税により37万5,000社以上の中小企業が恩恵を受け、対象となる企業は年間最大5,000ドルの節税効果を得られると予想されています。

この件について、トロントに移住した日本人企業家の交流の場として1978年に設立された非営利団体「新企会」の海野芽瑠萌さんに話を聞いてみました。

今回の1%減税ですが、現在のレントやその他経費の高騰を考えると、決して十分とは言えません。現場のオーナーたちからも、「1%ではコスト増を相殺できない」というシビアな声もありました。ただ、今回合わせて「設備投資の一括計上(即時償却)」の更新と対象となる経費の拡充が打ち出されたことは、トロントやオンタリオ州で新規開業を準備されている方々にとって、大きな追い風になるはずです。

起業初年度の新米社長にとっては、一生懸命走り回った結果、想定以上に利益が出て、法人税や、翌年の予定納税(前納)等が思ったよりも重くなることがあります。この一括計上ルールを活用して初年度の納税負担を抑え、少し落ち着いた2年目以降にキャッシュフローを安定させる、というように、従来より少し余裕を持って経営に当たることができそうです。

既存のビジネスにとっても、赤字の繰戻しや繰越、設備更新のタイミングを含め、税務全体を見直す良い機会になると思います。この制度を賢く利用し、トロントの日系ビジネスコミュニティが共にこの厳しい局面を乗り越えていくきっかけになることを期待しています。

ちなみに、CPA CANADAのサイトによると、この減税はカナダ資本の民間企業にしか適用されないので、日本企業や日本居住の個人が出資して成立した現地法人は含まないようです。

オンタリオ州でこれから起業をしたい人や、中小企業ビジネスを経営している人にとって厳しい現状が続く可能性がありますが、今回の法人所得減税が「厳しい局面を乗り越えていくきっかけ」になることが期待されています。
 

新築住宅購入者へのHSTリベートを強化

2025年10月、オンタリオ州は100万ドル以下の新築住宅を購入する人に対し、HSTの州税部分(8%)を免除するリベート制度を導入する案を発表していました。そして、新たに発表された2026年のオンタリオ州予算では、このリベートをさらに拡充する政策が打ち出されました。

連邦政府は、オンタリオ州の住宅政策を支援するため、オンタリオ州と費用分担を行うことに合意。オンタリオ州の新築住宅から免除されるHST(統一売上税)のうち、連邦政府が負担する5%分をほぼ全額負担することになります。

これにより、150万ドル以下の住宅に対するHSTの13%が実質的に免除され、購入者は最大13万ドルの税負担軽減を受けられるようになります。

150万ドル以上の住宅の場合、その後は段階的にリベートが減額。185万ドル以上の住宅では最大2万4,000ドルのリベートとなります。

この新しい措置は2026年4月1日~2027年3月31日までの1年間を予定されています。この13%のHSTリベート拡大により、オンタリオ州では来年、住宅着工件数が8000戸増加し、最大2万1000人の雇用が創出され、オンタリオ州のGDP成長率が27億ドル押し上げられると見込まれています。

ただ、注意点があります。

一見すると、新築住宅購入者にとって良い政策のように見えますが、販売者には規制がないため、住宅の値段が上昇する可能性があります。また、このリベートは初めての住宅購入者をターゲットにする政策ではないため、投資家や既に資本を持っている人も恩恵を受けられます。

歓迎の声もある一方、「この政策はトロントのコンドバブルがはじけた後に残ってしまった、過剰供給を処分する手でもある」という声もあります。


2026〜27年、オンタリオ政府の赤字は拡大することが予想されています。物価上昇や世界経済の不確実性も続いていますが、カナダやオンタリオ州は政治的には比較的安定している点が強みとされています。

その他、オンタリオ州2026年度予算については、以下のリンクで確認してみてください。

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