毎日通勤や通学に使う、トロントの公共交通機関TTCの地下鉄。
2022年と2023年には新しい路線が開通する予定ですが、この地下鉄のそれぞれの路線が誕生以来いつ、どのように変わっていったのか知ってますか?
そこで今回は、YouTube動画やツイッターを見ながら、トロント地下鉄の路線の移り変わりの歴史を日本語で解説します。
目次
今回ご紹介するYouTube動画・ツイッターの配信者について
今回ご紹介するのは、カナダ・アメリカの鉄道やバスなどの交通機関について配信しているカナダのYouTuberVanishing Undergroundさんの動画と、Rodneyさんのツイッター。
お二方とも豊富な情報量で、トロントに限らず様々な都市の交通機関について非常に詳しく解説されています。
photo from Vanishing Underground via YouTube
photo from @_ChanFace via Twitter
TTCトロント地下鉄の始まり
270万人の人口を抱えるトロントは、2つの地方自治体にまたがる75の地下鉄の駅を結ぶ路線で結ばれています。
4つの路線と77kmの線路で構成されるこのシステムは、トロントの主要幹線に沿って運行されており、ダウンタウンから郊外まで頻繁に車両が走っています。
TTC地下鉄は、開業から今日の路線に至るまで、どのようにして進化してきたのでしょうか?
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
カナダ発の地下鉄としてヤング・ラインが開通 (Line 1)
TTC地下鉄は、ヤング・ストリートの地下を走るカナダ発の地下鉄路線として1954年3月に開通しました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
ユニオン駅からエグリントン駅までの7.4kmを結ぶ12の駅が新設され、予想を上回る利用者数を記録したTTC地下鉄は、一夜にして成功を収めました。
The timeline reveals what I think are 4 distinct ages of TTC construction
1. First Construction (1949-1954)
Yonge was the first subway line in Canada and was an overnight success, having higher than expected ridership. This prompted the TTC into the next age of… pic.twitter.com/VlFB5EBgcn
— Rodney ? ? (@_ChanFace) February 14, 2021
ユニバーシティー・ラインへの拡張とブロア・ダンフォースラインの開通(Line 2)
1963年2月にはユニバーシティ・アベニューに沿って地下鉄が北に延長され、セント・ジョージ駅までを結ぶ6つの新しい駅が新設されました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
1966年2月、ヤング・ラインはブロア・ストリートに沿ってキール駅まで、ユニバーシティー・ラインはダンフォース・アベニューに沿ってウッドバイン駅までそれぞれ延長し、キールからウッドバインの間に新しい18の駅が作られました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution
クリックで拡大
この拡張工事の一環として2つの新しい路線が開通し、2つの駅間を乗り換えなしで移動できるようになりました。
新しい地下鉄はブロア駅(ブロア=ヤング駅に改称)で現存する路線と交差する形をとっていましたが、半年後には簡素化され、セント・ジョージ駅からエグリントン駅まで、キール駅からウッドバイン駅までをそれぞれ結ぶ2本の路線が設けられました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
そしてこの変更に伴い、ベイ駅の2番ホーム(Lower Bay Station)は廃止され、2021年現在も使われていません。
この時点で現在のヤング=ユニバーシティ・ラインとブロア=ダンフォース・ラインの2つの主要な路線の大半が、開通からたった5年足らずという短期間で完成したということですね!
2. Rapid Expansion (1959-1987)
The popularity of the subway fueled lighting fast construction, completing most of current Line 2 within 5 years! Line 1 saw rapid expansion on University, and north on Spadina and Yonge. pic.twitter.com/iK2FuHdK2O
— Rodney ? ? (@_ChanFace) February 14, 2021
2つの路線の延長とスカボロー・ライン
1968年5月、ブロア=ダンフォース・ラインは、西はキール駅からイズリントン駅、東はウッドバインからワーデン駅まで延長します。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
1973年3月、ヤング=ユニバーシティ・ラインはエグリントン駅からヨーク・ミルズ駅まで路線を延長、さらに翌年の1974年3月には、現在の終着駅であるフィンチ駅まで延長しました。
1978年1月には、ユニバーシティ・ライン側に北に伸びる新しい路線が貫通。ウィルソン駅までを結ぶ8つの駅が新設され、その一部は新しく建設された高速道路の中央分離帯の下を通るようになっています。
そしてスパダイナ駅がブロア=ダンフォース・ラインと通路で結ばれ、2つの路線の乗り換えが可能になりました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
1980年11月にはブロア=ダンフォース・ラインの東西の区間が延長され、現在の終着駅であるキプリング駅とケネディ駅がそれぞれ開通しました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
1985年3月には、トロントの第3の路線であるスカボロー線(スカボロー・ラピッド・トランジット)が開通。従来の地下鉄とは違い、リニア誘導技術を採用しているスカボロー線は、ブロア=ダンフォース・ラインの東側の終点ケネディ駅から北のマッコーワン駅までの5つの駅を結んでいます。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
ヤング=ユニバーシティ・ラインの延長とシェパード・ラインの開通
1987年6月、ヤング=ユニバーシティ・ラインのフィンチ駅とシェパード駅の間にノースヨーク・センター駅がオープン。この駅は今日まで、現存する地下鉄路線に追加された唯一の駅です。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
また当初建設が進められていたエグリントン・ウェスト・ラインは、1995年にカナダ保守党から選出されたマイク・ハリス・オンタリオ首相によって中止されました。
3. Political Shenanigans (1992-2002)
Things start to slow down, as the province and the boroughs of Toronto start fighting for rapid transit. Sheppard gets cut into a stub. Eglinton West is completely cancelled. pic.twitter.com/JsKeCaDBoS
— Rodney ? ? (@_ChanFace) February 14, 2021
1996年3月、ヤング=ユニバーシティ・ラインのユニバーシティー側、ウィルソン駅からさらに北にダウンズ・ビュー駅がオープン。この駅は設計時にエレベーターが組み込まれた初めての駅となります。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
2002年11月にはトロントの4番目の路線となるシェパード・ラインが開通し、シェパード・アベニューの東側の道に沿ってドン・ミルズ駅までの4つの駅が新設されました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
この新しい路線の接続により、シェパード駅はシェパード=ヤング駅と名前を変えることになります。
ヤング=ユニバーシティ・ラインの延長
2017年5月、ヤング=ユニバーシティ・ラインのダウンズビュー駅は、将来の地下鉄の駅とのネーミング上の衝突を軽減するため、シェパード・ウェスト駅と改称されました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
同年12月には隣のヴォーン市に乗り入れる形で路線が開通し、シェパード・ウェスト駅からヴォーン・メトロポリタン・センター駅までの6つ駅が新設されました。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
これで、現在の私達が知っているTTCの路線図が完成するわけですね。
今後のトロント地下鉄の路線はこうなる!
今後は2本のライトレールが開通し、市内で最も乗客の多いバス路線の混雑が緩和されることが期待されます。
2022年秋には、エグリントン・アベニューに沿ってトロント発のライトレールが開通(エグリントン・クロスタウン – Line 5) し、新しくオープンするマウントデニス駅からケネディー駅までを東西に結びます。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
ライトレールとは、路面電車と地下鉄を融合させた車両形式で、路面と地下両方の走行が可能。
アイオンビュー地域からサニーブルック・パーク地域までの、オンタリオ・サイエンスセンター駅を除く10カ所の停留所では路面走行、その後は地下鉄としてマウント・デニス駅まで向かいます。
ヤング=ユニバーシティ・ラインのエグリントン駅とエグリントン・ウェスト駅に乗り入れますが、開通後はエグリントン・ウェスト駅はセダーヴェール駅に改称する予定です。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
2023年後半には、ヤング=ユニバーシティ・ラインのフィンチ・ウェスト駅から西に向かうライトレールが開通します(フィンチ・ウェスト・ライン-Line 6)。
photo from Toronto’s Subway Network Evolution via YouTube
クリックで拡大
ウェストモア駅までの16の新しい停留所ではストリートカーとして、その後はハンバー・カレッジまで地下鉄で走ります。
また、TTCが2018年に発表した「今後25年の見通し(25 Year Outlook)」や、メトロリンクスが2019年4月に発表したプランによりますと、
- 2027年までにスカボロー地下鉄を延長(スカボロータウンセンター〜ケネディ駅)
- 2032年までにヤング・ラインの延長(フィンチ駅〜リッチモンド・ヒル・センター)
- 時期は未定ですが、オンタリオ科学センターからオンタリオ・プレイスまでを結ぶ路線オンタリオ・ラインの開通
などが予定されています。
4. Upcoming Transit Renaissance? (2021-2030)
After a decade of no construction in the 2000s, our timeline starts to light up again. However, SSE, YNSE, and OL haven't started construction yet, so hopefully these projects finish on time. pic.twitter.com/w8hefk1egm
— Rodney ? ? (@_ChanFace) February 14, 2021
ただこれらはまだ建設の段階には入っていないため、予定通りプロジェクトが遂行されるのを願うばかりです。
ということでいかがでしたか?
TTCが開通してからおよそ70年、様々な路線の開通や拡張を繰り返しながら進化していくトロント地下鉄からこれからも目が離せませんね!