LifeToronto の読者の中にも現在カレッジに通われている方もいるでしょう。
スキルアップのため、将来カナダで就職するため、カナダで成功するため、と人それぞれ目的は違っても、夢を叶えるために時間と労力、お金を費やして学んでいる教育機関に突然行けなくなったとしたらどうしますか?
日本ではありえないことですが、先日からオンタリオ州の24の州立カレッジでストライキが始まり、多くの学生が不安な日々を送っています。
今回はこのストライキの概要についてご紹介します。
目次
1. 前例:85日間続いたヨーク大学でのストライキ
日本ではあまり考えられないことですが、カナダでは会社だけではなく、公共交通機関や教育機関もストライキを起こします。
近年カナダの大学で起きたストライキでもっとも長く続いたのは2008年にヨーク大学の労働組合 (CUPE Local 3903) が起こしたストライキです。
このストライキの主な目的は契約講師の雇用安定を求めたもので、 85日間(2008年11月6日〜2009年1月29日)続きました。
2. オンタリオ州の24の州立カレッジでストライキ実施
オンタリオ州の公立カレッジと労働組合 (OPSEU: the Ontario Public Service Employees Union) は今年の7月から交渉を続けていましたが、期日である10月16日 00:01迄に合意に至らず、10月16日(月)から正式にストライキが始まりました。
今回ストライキを実施した OPSEU はカレッジに勤務する教授、インストラクター、カウンセラー、図書館司書などの12,000人から成る労働組合です。このストライキにより、500,000人以上の学生が影響を受けています。
労働組合側の嘆願内容は下記。
・常勤講師と非常勤講師の割合を50:50にすること(現在70%が非常勤講師)
・有期雇用教員(1セメスター毎の契約)の雇用の安定
・裁量権の拡大(アカデミック関連)引用:OPSEUホームページ
16日から20日の間に予定されていた試験に向けて準備をしていた矢先に起きたストライキに多くの学生が不安と不満を抱えています。
Hundreds show solidarity at Seneca@York campus rally #StandWithFaculty #onpoli #onpse https://t.co/70JMrXAVrh pic.twitter.com/PZxbzvFeuH
— OPSEU (@OPSEU) October 20, 2017
現時点ではストライキがどれくらい続くのかの目処は立っていません。
留学生の場合、学生ビザの期間や卒業後申請する予定だったポストグラデュエートワークパーミットのことなど、今後の予定に大きく影響します。
3. 署名活動 “#Wepaytolearn”
With my @MovieConflix students supporting @CAATfaculty We need to be back in the classroom! @Kathleen_Wynne #wepaytolearn @Confederation pic.twitter.com/RrdyVu2MD8
— leechambers (@leechambers) 2017年10月17日
このストライキでもっとも迷惑しているのはオンタリオ州の公立カレッジに通う学生で、10月11日からオンライン上で #Wepaytolearn の署名活動が行われています。
If our profs aren’t going to teach then I want my money back. Sign the petition to help! #wepaytolearn https://t.co/a6vXYtPzp4
— Natalie Oesch (@Nerding_out101) 2017年10月14日
カレッジの授業料は国内学生の場合2セメスターで$3,800 – $7,500(留学生の場合、およそ2.5倍)。
現時点では授業料の返金は予定されていません。
2セメスターの授業料が$5,000(1セメスター 13週)と仮定すると、国内学生は1日約$40の授業料を支払っていることになります。
#Wepaytolearnの署名活動は235,000人のフルタイムの学生と300,000人のパートタイムの学生を代表したもので、フルタイムの学生の場合、1日につき$30、パートタイムの学生の場合$20の返金を求めています。
最初の目標は50,000の署名を集めることでしたが、10月19日時点で既に84,000の署名が集まっています。
4. ストライキの間の過ごし方
ストライキが長引けば、授業が受けられなかった週の授業内容を短期間で終わらせる必要がある為、非常に忙しくなることでしょう。
見通しのつかない現状への不安もさることながら、ストライキ終了後も不安要素は残りそうです。そこで、不安を少しでも取り除く為に、今できることは今のうちにやっておきましょう。
★ このセメスターにするべき宿題のリストを作成しましょう
★ できるだけ多くの宿題を終わらせましょう
★ 予習・復習をしておきましょう
★ 在籍中のカレッジからのメールやホームページ、ニュースを定期的に確認しましょう
★ いつでも学校に戻れる準備をしておきましょう(海外旅行には行かないように!)
5. ストライキの影響を受けている24の公立カレッジ
photo from George Brown College
下記はこのストライキの影響を受けている24の公立カレッジのリストです。
日本人留学生に人気の6つの公立カレッジ(Centennial, George Brown, Humber, Niagara, Seneca, Sheridan)にはストライキに関する情報を含むリンクを貼っています。
(参照:Faculty at 24 Ontario colleges on strike (Global News))
在籍中のカレッジの情報サイトは定期的に確認しましょう!
日本では過労死が問題になる中、ここカナダでは労働者が自身の権利を主張します。多くの人々の将来に影響を与える教育機関であってはならないことですが、権利を主張することは私たち日本人に欠けてることなのかもしれません。
「ストライキのために中止になった分の授業は残りの週に凝縮され、予定通り卒業できる」と私の知っている教授は話していましたが、現時点では憶測にすぎず、早くこの事態が収まり、予定通り卒業できることを願うばかりです。