2026年10月26日、カナダ・オンタリオ州トロントで市長選挙が行われ、現職のオリビア・チャウ(Olivia Chow)市長が再選を果たしたことは、ご存じの方も多いかと思います。
今回の選挙では、元トロント市議会議員のブラッド・ブラッドフォード(Brad Bradford)氏とオリビア・チャウ市長の争いが注目されましたが、チャウ市長が約54%の票を獲得して勝利を収めました。

photo from liviaChowTO(Facebook)
この記事では、改めてオリビア・チャウ市長がどんな人なのか、そして今回の選挙で掲げられたチャウ市長の政策について紹介します。
トロント市長選挙2026の結果
2026年10月26日に実施されたトロント市長選挙には、合計53人が立候補しました。トロント市が公表した非公式の集計結果によると、主な候補者の得票数と得票率は以下の通りです。
| 候補者 | 得票数 | 得票率 |
|---|---|---|
| オリビア・チャウ(Olivia Chow) | 532,201票 | 54.16% |
| ブラッド・ブラッドフォード(Brad Bradford) | 404,013票 | 41.11% |
※2026年10月27日時点の非公式集計結果。参考: https://electionresults.toronto.ca/
市内1,431カ所の全投票所で計98万2,660票が投じられ、今回の選挙の投票率は45.8%となり、2014年以来の高水準ということです。2022年の市長選挙の29.7%、2018年の選挙の40.9%を大きく上回る結果となりました。
なお、これらは10月27日時点の非公式結果であり、正式な結果はトロント市の選挙管理当局による認証後に確定されます。
Tonight, the people of Toronto have spoken.
And you have given me the extraordinary honour of continuing to serve as your mayor.
I am grateful. I am humbled.
And I am so proud of our city. https://t.co/9ZvgpaJTye
— Olivia Chow (@oliviachow) October 27, 2026
改めて…オリビア・チャウ(Olivia Chow)市長ってどんな人?
オリビア・チャウ氏は1957年に香港で生まれ、13歳のときに家族とともにカナダへ移住しました。セント・ジェームズ・タウン(St. James Town)で暮らし、ジャーヴィス・カレッジエイト(Jarvis Collegiate)高校に通いました。
高校卒業後はOCAD大学(オンタリオ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン大学)に進学し、プロの彫刻家、大学講師、ESL教師、そして新規移民のためのカウンセラーなど、多岐にわたるキャリアを歩んでいます。
その後、政治家としてのキャリアは1985年に始まり、トロントの教育委員に初当選。1991年にはメトロ・トロントの市議会議員に選出され、生活に密着した政策に取り組みました。2006年から2014年までは、新民主党(NDP)所属のカナダ連邦議会議員(トリニティ・スパダイナ選挙区選出)として活動した経験もあります。
また、夫はカナダ新民主党(NDP)の党首を務めた故ジャック・レイトン(Jack Layton)氏で、夫妻は長年にわたり政治活動に携わってきました。
Thank you, Toronto! https://t.co/kQFNkWaOO6
— Olivia Chow (@oliviachow) June 27, 2023
2023年6月、ジョン・トーリー(John Tory)前市長の辞任に伴って行われた補欠選挙で初当選。トロント市で初めての中国系カナダ人女性市長となりました。
そして今回の2026年10月26日に行われた市長選挙でも再選を果たし、2026年から2030年までの新たな4年間、市政を担うことになります。
オリビア・チャウ市長の主要政策は?

photo from oliviachow.ca
今回の選挙でチャウ市長は、住宅の供給拡大、公共交通機関の利便性向上、生活費の負担軽減などを主要な政策として掲げていました。政策の一部を紹介します。(詳細はチャウ市長のウェブサイトで確認できます)
1. 手頃な価格の住宅を増やす
I’ve delivered on building housing, and we’re just getting started.
Thanks to partnership with Prime Minister Carney we have secured $2.7 billion to build housing you can afford. https://t.co/fUVZcdgAsW
— Olivia Chow (@oliviachow) October 22, 2026
トロントでは住宅価格や家賃の高さが大きな課題となっています。
チャウ市長は、手頃な価格の賃貸住宅の建設を促進。現在、市の支援を受けた15,000戸の住宅が建設中で、来年はさらに10,000戸の建設に着手する計画です。手頃な価格で、家賃の値上げに一定の制限が設けられる住宅を計65,000戸建設することを目指しています。
また、賃貸住宅の適切な維持管理を怠る家主への取り締まりを強化し、入居者が安心して暮らせる住環境の整備を目指します。(例:家主が建物の修繕を拒否した場合、市が代わりに修繕を実施し、その費用を家主に請求)
2. TTCの利用負担を軽減 / 交通の円滑化

トロントの公共交通機関TTCについては、頻繁に利用する乗客の交通費負担を軽減する政策を掲げています。
具体的には、1週間に10回分の運賃を支払えば、それ以降の同じ週の乗車を無料とする仕組みの導入を目指しています。さらに、TTCの運賃を4年連続で据え置く方針です。
また、AIを活用したスマート信号機や信号優先システムを導入するなど、道路交通/公共交通機関の円滑化のためになども公約に含まれています。
3. 学校給食プログラムの拡充
オリビア市長は、保護者の食費負担を軽減するため、学校で無料の食事を提供する取り組みを拡充する方針です。実現すれば、各家庭で子ども1人あたり年間最大1,800ドルの節約が可能になるということです。
4. 食料品価格への対策

食料品価格の高騰に対応するため、生活必需品を購入する際の負担を軽減する政策も打ち出しています。先ほど紹介した学校給食プログラムの拡充も、食費の軽減につながります。
- 食料品の「監視型価格設定(Surveillance Pricing)」を禁止:大手スーパーなどが消費者の個人データを利用して、個人ごとに高い価格を設定することを防ぐ
- 独立系・地域密着型の食料品店の税負担を軽減:地域の小規模店舗が大手チェーンと競争しやすい環境を整える
- 地域密着型の食料品店の開業を支援:主要な商店街にある空き店舗と食料品販売事業者を結びつけ、新たな店舗の開業を促進する
- 公正な競争を妨げる法律の見直しを働きかける:大手チェーンに有利に働き、競争を制限する法律の改善を目指す
- 学校での食事提供を拡充:より多くの子どもたちに学校で食事を提供することで、家庭が毎週負担する食費の軽減につなげる
5. トロント市内の雇用機会を増やす
チャウ市長は、民間企業からの投資誘致や住宅・公共交通機関の整備を通じて、トロント市内の雇用機会を増やす方針を掲げています。
- 若者向けに15,000人分の雇用機会を創出:「Toronto Youth Employment Strategy」を通じて、若者の就職を支援。すでに数か月間で2,600人分の雇用機会が生まれたとしています
- スカボロー地区の住民・若者の雇用を促進:Scarborough East LRT(次世代型路面電車)の建設プロジェクトにおいて、建設関連の仕事の20%を地元住民(特に若者)に割り当てる方針
- 住宅建設によって37,000人分の雇用を創出:「Rental Housing Supply Program」を通じて、新たに10,000戸の賃貸住宅を建設し、建設業界での雇用創出を目指す
- 民間企業からの投資誘致を継続:企業経営者や労働組合の代表者などで構成される「Mayor’s Economic Action Team」と連携し、米国との貿易摩擦への対応や、トロントへの民間投資の呼び込み
今後のトロント市政はどうなる?
今回の選挙結果を受け、チャウ氏は引き続きトロント市政を率いることになります。
ただし、選挙公約の実現には市議会での審議や予算の確保、場合によってはオンタリオ州政府との協力も必要です。
住宅費や物価の高騰が続くなか、今後4年間でどのような政策が実施されるのか、引き続き注目です。


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