カナダ・オンタリオ州、自治体のスピードカメラを全面禁止へ。その理由は?

  

2025年11月14日追記:

本日より、オンタリオ州では、金儲けを目的とした市営のスピードカメラの設置が禁止されました。
その代わりに、スピードバンプ、ラウンドアバウト、より効果的な標識など、ドライバーの生活費を増やさずに速度を落とす、積極的で実績のある安全対策を支援するということです。

カナダ・オンタリオ州政府はオンタリオ州全域の自治体による自動速度取締カメラ(スピードカメラ)の使用を禁止する法案を2025年10月に提出する方針を明らかにしました。

州は「スピードカメラが事実上、住民からの収入源となっていて、金儲けに過ぎない」と批判し、代替として新たな州基金を創設し、スピードバンプ、ラウンドアバウト、横断歩道のかさ上げ、縁石延長といった交通抑制策や、交通安全教育・標識改善などを支援する予定です。

オンタリオ州政府のニュースリリースによると、過去25年間、オンタリオ州は北米で最も交通安全が高い地域トップ5に入っていて、既存制度では、制限速度をわずか1km/h超過しただけでもチケット発行が可能となっています。

そのためか、ヴォーン市では設置からわずか3週間で3万枚以上のチケットを発行していたり、トロント市では1台のカメラが6万5,000件以上のチケットを出し、700万ドル近い収入を得ていたとのことです。また、ウォータールー地域では半年間で5万5,000件近いチケットを切っています。

2019年以来、オンタリオ州では40の自治体に700台以上のスピードカメラが設置され、今後さらに増設が予定されていました。

これに対し、ダグ・フォード州首相は、「あらゆるレベルの政府がコスト削減と生活費の負担軽減に全力を尽くすべき時に、多くの自治体がスピードカメラを cash grab(現金集め)として利用している。もう十分だ。違反通知を数週間後に送りつけてドライバーの生活コストを高くするのではなく、最初からスピード違反を防ぐ安全対策に投資し、コストを抑えながら道路を安全にする。」と述べました。

法案が成立すれば、自治体のスピードカメラの利用は禁止され、即時に効力を持ちます。オンタリオ州内の40自治体で稼働している700台以上のスピードカメラが撤去されることになります。

さらにオンタリオ州は、学校ゾーンに設置済みのカメラを撤去する代わりに、2025年11月までに大型標識を設置し、2026年9月までに点滅ライト付きの恒久的標識に置き換えることを義務化する方針です。

この件に対し、「ダグ・フォード州首相は、道路の安全性を高めるためにスピードカメラを設置したのに、今や撤去しようとしている。」という反対意見も出ているようです。

トロントのオリビア・チョウ市長は「これは間違った決定だと思います。州政府がスピード違反を容認しているという印象を与えることになります。道路の安全性が低下することを意味します。」と述べました。「スピード違反は命取りです。2024年以降、トロント市民250人が道路上で死亡または重傷を負っています。自動取り締まりは効果を発揮します。」とも語っています。

また、AjaxのRob Cerjanec議員は「スピードカメラは衝突事故を減らし、命を救ってきました。この制度は公平性を最大限に高めるために改善できるし、改善すべきですが、完全に廃止するのは無謀です。」と自身のSNSで述べています。

皆さんは、オンタリオ州全域のスピードカメラの撤去に賛成でしょうか?それとも反対でしょうか?今後に注目です。

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