トロントのヤングダンダススクエアやダンダス駅など4ヶ所の名称が変更へ。その理由

  

皆さん、トロントにあるダンダス・ストリートやヤング・ダンダス・スクエア、その他同様の名前(ダンダス)のランドマークの名前の由来をご存知でしょうか?

これらはイギリス議会で奴隷制度廃止動議が審議されていた1770年代~1800年代初頭に政治家だったスコットランドの Henry Dundas の名前にちなんで名付けられています。(Wikipediaには、18世紀後半のスコットランドで最も強力な政治家、と記されています)

しかし、Henry Dundasは大西洋奴隷貿易の廃止動議に対する修正をめぐって物議を醸した人物としても知られている背景がありました。(※Henry Dundasの子孫の方は、同氏が「段階的廃止」運動で戦略的であるつもりだったと主張しています)

そのためトロント市は2年間にわたる協議、調査、議論を重ねてきて、先日12月14日(木)の夜に行われた市議会で、議員は19対2でヤング・ダンダス・スクエアの名前変更を可決。トロントニアンにおなじみのヤング・ダンダス・スクエア(Yonge-Dundas square)は「サンコファ・スクエア(Sankofa Square)」に改名することを決定しました。

動議によると、「ガーナ発祥のサンコファ(Sankofa)の概念は、過去の教えを振り返り取り戻す行為を指し、それによって私たちは共に前進できるようになる」とのことで、新しい名称は外部の専門家を含む名称変更諮問委員会(renaming advisory committee)によって全会一致で決定されました。この新しい名前は、間違いを正し、反黒人人種差別に立ち向かい、すべての人にとってより包括的なトロントを構築するという市の取り組みを反映しています。

2024年第2四半期までには、広場の名前がサンコファ・スクエアに変更される予定です。また、Toronto Public Libraryの「Jane/Dundas」も2024年の第3四半期までに名前が変更される予定です。

さらに、この動議は地下鉄 Dundas駅を2024年の第4四半期までに、Dundas West 駅の名前を2025年までに改名することも勧告しています。市とTTCは、トロントメトロポリタン大学と協議してダンダス駅の名前を変更し、認識審査コミュニティ諮問委員会からのアドバイスを受けてダンダスウェスト駅の名前を変更する予定です。

もう一方でDundas Streetに関しては、市議会は2020年6月に名前変更を求める1万4,000人が署名した請願書を受け取り、2021年7月にストリートの名前を変更する投票を行いましたが、コストへの懸念(推定 1,270万ドル)から、名前の変更は今のところ一時停止となっています。

市は、今回の4ヶ所(Yonge-Dundas square / Jane/Dundas Library / Dundas station / Dundas West station)の市民資産の名前変更とその変更に関する費用を2年間で約270万ドルと見積もっているということです。

この動議を支持したトロントのオリビア・チョウ市長は、「(新しい名前は)私たちが一緒に前進することを可能にします。私たちの街の中心にある広場にこれ以上良い名前は思いつきませんでした」と語っています。

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