以前も記事でお伝えしたのですが、ドナルド・トランプ次期米大統領は、カナダとメキシコが米国への不法移民と違法薬物の流入を抑制できなかったとして、大統領就任初日にカナダからのすべての商品に25%の関税を課すと脅している状況です。
そんな中、12月17日にカナダ連邦政府からカナダの国境警備と移民制度の強化に関する一連の発表がありました。(トランプ氏の脅しが直接関係しているのかは不明)
13億ドルの投資を背景に5つの柱を中心に構築されたこの計画は、国境の安全・移民制度を強化し、カナダの将来の繁栄の確保に貢献するとしています。
(2/2) Backed by an investment of $1.3 billion and built around five pillars, this plan will bolster border security, strengthen our immigration system and contribute to ensuring Canada’s future prosperity.
— Public Safety Canada (@Safety_Canada) December 17, 2024
そのなかには「フラッグポール」を終わらせる取り組みについても触れられていました。
また、ニュースリリースとは別で、マーク・ミラー移民大臣がLMIAの加点を終了させることについても言及していたので、あわせて紹介します。
国境でのビザ切り替え、フラッグポール(flagpoling)の終了
カナダ連邦政府は不必要な国境通過量の最小化を目指しており、一時滞在者がビザを切り替える理由でカナダを出国し、すぐに再入国する「フラッグポール」(flagpoling)を終わらせるための変更を実施する予定です。
カナダ一時滞在者のフラッグポールは、基本的に以下のような流れになります。
②アメリカに入国
③すぐにカナダへ再入国
マーク・ミラー移民大臣によると、フラッグポールでの申請をなくすことで、国境警備官が他のことに集中できるようになり、国境への圧力が軽減されるとのことです。
移民大臣は、この変更がいつ発効するかを明らかにしていませんが、移民局はできるだけ早く実施することを目指しているようです。
エクスプレスエントリーにおけるLMIA加点の廃止
The Immigration Minister, Marc Miller, officially announced the removal of LMIA points (50 points) from Express Entry. pic.twitter.com/xXQbYqvBWe
— RED FM™ VANCOUVER (@redfmvancouver) December 18, 2024
マーク・ミラー移民大臣はオタワの記者会見で、LMIA(Labour Market Impact Assessment)の審査をクリアした永住権申請者が、エクスプレス・エントリーの申請で追加ポイントを受け取らなくなると明らかにしました。
LMIAは、雇用主がカナダ人または永住権保持者で埋めることができない職種に外国人を雇用する場合に、許可を得るためのプロセスです。この許可は、外国人労働者の雇用がカナダの労働市場にポジティブ、もしくは中立的な影響を与えると判断された場合に発行されます。
LMIAの承認はカナダでの永住権申請にもメリットがあり、LMIA承認を持つ雇用主からのジョブオファーは、ポイント制(Comprehensive Ranking System, CRS)のスコアに加算され、永住権申請が有利になります。
この背景には、一部の雇用主と移民エージェントが、移民希望者や永住権を得るために CRS スコアを上げようとしているカナダ一時滞在者に LMIA を違法に販売することでシステムを悪用していることがあり、移民大臣によると、この措置はエクスプレスエントリーシステムの公平性と完全性を高め、LMIA システムですでに行われている詐欺の価値がいくらか軽減されることが期待されています。
Canada removes points through LMIA amidst immigration fraud | Financial Post https://t.co/tNuxFRFcYq
— Marc Miller ᐅᑭᒫᐃᐧᐅᓃᐸᐄᐧᐤᐃᔨᐣ (@MarcMillerVM) December 18, 2024
確かに、カナダ永住権申請におけるLMIAでの追加ポイントが廃止されると、違法にLMIAを購入するメリットは減りそうですよね。しかし、その一方で、これまで違法行為をせずにLMIAを活用してCRSスコアを上げてようとしている人たちにとっては、永住権取得への道がこれまで以上に厳しくなる可能性もありそうです。
変更が実施される時期についてはタイムラインは示されていないので、今後詳細が発表されるものとみられています。