【詐欺や犯罪から身を守ろう!】カナダ・トロントでのオンライン掲示板やSNSなど利用の注意

  

JSSの「トロント生活相談室」第3回
文/JSS(ジャパニーズ・ソーシャル・サービス)
カウンセラー・オンタリオ州公認心理療法士
公家孝典

JSS(ジャパニーズ・ソーシャル・サービス)はカウンセリング・情報提供サービスを行っている非営利の相談機関で、日々たくさんの相談が寄せられます。

今日の私たちの生活はインターネット抜きでは成り立たないと言っても過言ではないほど、インターネットに依存したものになってきています。

これにともない、ここ数年オンライン掲示板、個人広告サイト(Kijiji、CraigslistやeMaple、JPCanadaなどの日系の電子掲示板)および種々のSNSなどインターネットを利用した様々な手口の悪質な行為により被害を受けた方たちからの相談が増えています。

インターネット犯罪

そこで今回は、実際に報告の多いインターネットを通しての犯罪・トラブル事例、JSSに多い相談事例、被害にあった際の対応方法などをご紹介いたします。

事前に知っておくことで、皆様が危険やトラブルに巻き込まれる可能性を少しでも減らすことができれば何よりです。

よく見られる悪質な広告の例

違法な求人の例

違法求人

よくある事例1:非常に高額な給料の求人

スパ、マッサージ、エステなどの店員募集の求人広告で非常に高額な給料をうたっているもの。
これらのほとんどは性風俗・売春のビジネスでカナダでは違法です。

よくある事例2:労働法に違反

求人広告で連絡してみると、「ワークパーミットなしでも働ける」というものや、明らかにオンタリオ州の最低賃金を下回るもの。
ワークパーミットなしでの就労は違法です。
※「給料は現金のみでしか払えない」、「給与明細(Pay Stub)は発行しない」、「タックスリターン用のT4やRecord of Employment(ROE)は発行できない」というビジネスは要注意!

よくある事例3:犯罪に加担

ビジネスの手伝いという名目の求人広告で、銀行口座を開設させマネーロンダリングの手伝いをさせる詐欺

賃貸詐欺や嫌がらせ物件の例

賃貸詐欺

よくある事例1:先に送金を求める

コンドや一軒家の部屋貸しの広告で連絡してみると、大家が現在は州外や海外に住んでいるためという理由で、最初と最後の月の分の家賃、セキュリティーデポジットの振り込み、電子送金を求めるもの。
(送金すると、さらなる送金を求める連絡が来て、その後連絡が取れなくなるようなパターンが多い典型的な詐欺ケース。)

よくある事例2:実際の部屋や物件を見せない

コンドや一軒家の部屋貸しの広告で連絡すると、その部屋の“大家のフリをした人物”が、ネット上の写真しか見られない段階で、最初と最後の月のレントなどのデポジットを要求してくるもの。
最近は新型コロナを理由に「写真しか見せられない」という手口も確認されています。

また、別の手口では、物件の入り口等(コンドのロビーとか)まで連れていき、「現在の住人と連絡が取れないから中は見せられない」などと言って、実際に部屋を見せないが、手付金を要求してくるもの。

どちらの手口も、高級コンドに連れて行ったり、きれいな部屋の写真を見せたりして、他にも希望者がいることをにおわせてプレッシャーをかけ、急いで手付金を払わせようとする手口が多いです。

よくある事例3:貸し手による悪質な嫌がらせ

自分が借りている一軒家の部屋を日本人限定で貸し出し、嫌がらせをしたり、急に追い出す、セキュリティデポジットを返さない、などの行為をはたらいているという人物の報告が出ています。

売買詐欺の例

売買広告詐欺

よくある事例:ブランド品を安く売る

カナダグースのウィンタージャケットやアルマーニのスーツなどのブランド品を格安で買えるという詐欺の広告

JSSに多い相談例

相談事例リスト

トロントで暮らす日本人が直面しやすい問題には、上記で挙げたような詐欺やトラブルに限らず、様々なものがあります。

以下は、JSSに相談が多いトラブルや問題などの事例です。
こういったケースに直面しうるという事を知っておいて、普段から情報収集を心がけておきましょう。

  • セクシャルハラスメント
    (大家、雇用主、同僚、クラスメート等による被害)
  • 性的暴行
    (酩酊状態での同意のない性的行為も含む)
  • リベンジポルノ
  • ドメスティックバイオレンス
  • 雇用問題
    (最低賃金以下での労働、賃金未払い、無休トレーニング、サービス残業など)
  • 賃貸に関する問題
    (詐欺、不当なセキュリティーデポジットの要求、セキュリティーデポジットの無返却、違法な生活環境-例:室温が21度以下など)
  • 詐欺
    (賃貸、物の売買、CRA(Canada Revenue Agency)を装った振り込め詐欺など)
  • 盗難
  • メンタルヘルスに関する相談

問題に巻き込まれたら・被害にあったら

被害の報告

運営者に連絡

オンライン掲示板、個人広告サイト(Kijiji、CraigslistやeMaple、JPCanadaなどの日系の電子掲示板)および種々のSNSなどインターネットを通じて詐欺や違法な活動の被害にあった場合、その加害者が継続的に投稿している際には、さらなる被害の拡大を防ぐために、各インターネットサービス運営者に連絡してください。

どのような被害にあったのかを説明し、広告の削除依頼を出しましょう。

公的機関へ連絡・相談

明らかな犯罪行為の被害にあった場合には、直ちに警察に相談しましょう。ケースによっては、日本語の話せる通訳サービスをつけてもらえるはずです。

雇用や賃貸などのトラブルに関しては、専門機関に連絡してみましょう。

警察

トロント市の場合はトロント市警察へ。
その他の地域の場合は、以下のオンタリオ州警察Webサイトから、該当する警察窓口を確認できます。

オンタリオ州警察Webサイト:http://www.opp.ca/
トロント市警察Webサイト:http://www.torontopolice.on.ca/

緊急の場合:911
緊急でない場合:416-808-2222(トロント市警察)

雇用に関する問題の相談機関

Employment Standards Information Centre (under Ministry of Labour of Ontario)
オンタリオ州政府労働局では、Employment Standards(労働基準)に関する情報がサイトに掲載され、相談窓口もあります。

オンタリオ州政府労働局Webサイト:https://www.labour.gov.on.ca/english/es/
(Employment Standardsページ)
電話連絡先:
-GTA: 416-326-7160
-Canada-wide: 1-800-531-5551
-TTY: 1-866-567-8893

賃貸に関する問題の相談機関

The Federation of Metro Tenants’ Associations (FMTA)

FMTAは、NGO運営によるカナダ最大の借主連合組合です。賃貸トラブル相談を受け付けるホットラインがあります。

FMTAのWebサイト:https://www.torontotenants.org/
テナント・ホットライン: 416-921-9494

トラブル相談

警察に相談するべき問題かどうかわからない場合や、どこに相談すればいい問題なのかわからないような場合にはJSS(416-385-9200)までお電話ください。

警察や担当の公的機関に相談してもすべての問題が解決できるわけではないので、まずは被害にあわないように気を付けることが大切です。

皆様のトロントでの生活が楽しく、快適なものになることを願っております。

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