真空状態のチューブを用いた次世代型の高速輸送システム「ハイパーループ」。
長距離を短時間でつなぐこの新たな交通輸送システムについて、
カナダ政府がいよいよ本格的に調査へ乗り出します。
ハイパーループとは?
ハイパーループとは、真空状態のチューブを用いた高速(時速1000キロ)輸送システムのことで、アメリカのイーロン・マスク氏が提唱したアイディア。
マスク氏が、ロサンゼルスの深刻な交通渋滞と、なかなか進まない新幹線計画に業を煮やして、新たな交通輸送システムとして2012年に提案した構想で、現在世界の各地で開発のための調査や研究が進められています。
↑実際にアメリカのネバタ州ではVirgin Hyperloop One(本社:アメリカ・ロサンゼルス)がテスト開発を行っている
世界初はトロント⇔モントリオール間の可能性も!?
ハイパーループの実験研究・開発を進めて、業界を牽引している企業のVirgin Hyperloop One(本社:アメリカ・ロサンゼルス)が2016年に行った調査では、
都市規模や、研究や開発規模などの可能性からトロント・モントリオール間が、世界初のハイパーループ開通都市の候補10区間の1つにあがっています。
Image from Virgin Hyperloop One
カナダ政府が本格的に調査へ
photo from TransPod
そしてつい先日カナダ運輸省が出した公示によると、現在カナダ政府は、このハイパーループの技術について調査するため、専門家によるコンサルティングを求めているとのこと。
その調査では主に、
・ハイパーループは実現可能な技術なのか?
・乗客にとって安全な乗り物なのか?
・新幹線などの従来の高速鉄道と比べて、費用はどのくらいかかるのか?
という疑問に対する回答が得られることが求められています。
こうしたカナダ政府の動きに、トロントにもオフィスを構え、ハイパーループ技術の研究・開発を行っている企業TransPodは、この動きをとても喜ばしい事と表現しています。
とはいえ、CEOのセバスチャン・ジャンドロン氏は、CBCの取材に次のように答えています。
「カナダ政府は、ハイパーループ技術に対してとても用心深いです。カナダはこの技術においては、まだ初期段階にいます。とはいえ、遅れているわけではありません。アメリカやヨーロッパの私たちのパートナーのレベルに追いつくには、いますぐやらなければならない事がたくさんあります。」
TransPod 創立者兼CEO セバスチャン・ジャンドロン氏/
photo from TransPod
もし実現したら移動時間はこんなに短縮
photo from TransPod
カナダでのハイパーループの実現に向けてはまだまだ課題が多いようですが、とはいえ、やっと国としてのカナダ政府が調査に乗り出した、この次世代型の交通システム。
トロント・モントリオール間がハイパーループで繋がる事が実現すると、その移動時間は現在よりも大幅に短縮されます。
・トロント・モントリオール間 (640 km):39分
・トロント・オタワ間 (450 km):27分
・オタワ・モントリオール間 (190 km):12分
ハイパーループは環境にも優しく、技術的には10年後の導入も可能としています。
しかし、安全性や規制の整備、費用など、今後解決すべきことも多いのも事実。今後のカナダが調査を元にどういう方向に向かうのか、注目したいところです。
※引用元:
・CBC/Hot tech or hype magnet? Transport Canada funds a study of ‘hyperloop’ transport
・TransPod
・Virgin Hyperloop