【性別不問の国歌に】カナダ議会が「オー・カナダ」の歌詞を変更する法案を可決

  

同性婚を合法化(2005年)するなど、LGBTにも寛容な姿勢を示しているカナダ。2015年に就任したジャスティン・トルドー首相も、「性別・セクシャリティを問わず、平等であるべきだ」と訴えています。

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昨年には、パスポートの性別欄に男性(M:Male)でも女性(F:Famale)でもない性別(X)を導入したことでも話題になりました。

そんな中、カナダ政府がかねてより議会に提出していた、カナダ国歌「オー・カナダ」の歌詞の一部を変更し、性別を問わない内容にするための法案が、このたび上院議会で可決され話題となっています。

今回はこちらのニュースについて、解説したいと思います。

変更の対象となっている歌詞はどの部分?

【素敵CMを見ながら、カナダの国歌を覚えよう!(英歌詞/日本語訳付き)】

現在歌われているカナダ国歌「オー・カナダ」は、1980年の国歌制定以来、これまでにも度々歌詞の変更についての議論がなされてきたという歴史があります。
今回、提出されている法案で変更すべきとされている歌詞は以下の通りです。

“True patriot love in all thy sons command”

直訳すると「汝の息子全ての中に流れる、真の愛国心」と訳されるこの部分について、男性のみを指すものであり、男女差別にあたるのでは?とする意見が多数挙がっていました。

photo from Vancouver Sun

記憶にあたらしいところでは、2010年に開催されたバンクーバー五輪にて、カナダは合計14個の金メダルを獲得。そのうち6人が女性選手であったことを受け、「表彰台で女性たちが”in all thy sons command”と歌うのはいかがなものか?」との意見が噴出。
 
当時のハーパー首相が国歌修正法案を国会に提出するも、国民からの反対の声が殺到して撤回するという事態にまで発展しました。

変更後の歌詞案と、カナダ国歌の今後の展望

今回上院議会で可決した法案によると、変更後の歌詞は以下の通りとなります。

“True patriot love in all of us command”

後半部分がall of us command(我々のすべて)となり、男女平等を訴える狙いがあります。


上院議会での法案可決を受けて、ジャスティン・トルドー首相はTwitterで「男女平等に向けて積極的な一歩である」とコメントしています。

photo from CNN

この法案については、2016年に下院議会を通過しており、今後はカナダ総督の承認を経て、正式に法案成立となります。(時期は未定)


法案可決を歓迎する声がある一方で、「革新派(リベラル)によって国歌が変えられてしまうことに失望した」「変えて良いものと、変えてはいけないものがある」などの声も、一部の保守系議員を中心に挙がっており、引き続きこの議論は続きそうです。

【参考】カナダ国歌(日本語訳つき)

Official Lyrics of O Canada!

O Canada!
Our home and native land!
True patriot love in all thy sons command.

With glowing hearts we see thee rise,
The True North strong and free!

From far and wide,
O Canada, we stand on guard for thee.

God keep our land glorious and free!
O Canada, we stand on guard for thee.

O Canada, we stand on guard for thee.

O Canada!日本語訳:カナダ大使館HPより

おお、カナダよ!
われらが故郷、われらが祖国!
汝の子すべての中に流れる真の愛国心

輝ける心をもって
興隆する祖国を見守らん真の北国
堅固にして自由なり!

遠く広くから、
おお、カナダよ
われらは汝を守りゆく

神よ、これからも
われらの大地を荘厳で自由に保ちたまえ

おお、カナダよ
われらは汝を守りゆく

おお、カナダよ
われらは汝を守りゆく

*歌詞、和訳ともに2018年2月現在のものとなります。

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