本日12月19日、カナダでオンラインニュース法が発効となりました。Googleは発効前に報道機関に年間1億カナダドルを支払うことで合意。Meta社は、カナダに暮らす人のFacebookとInstagram上のニュースへのアクセスをブロックしたままです。
As the Online News Act came into effect today, this is the message Meta now displays when clicking on news links from Threads. #cdnpoli @PascaleStOnge_ pic.twitter.com/2cwjrsHwBm
— ChrisD.ca News (@ChrisDca) December 19, 2023
現在、カナダ国内でFacebook、Instagramからニュースを見ることができないのはご存知ですか?
理由に、オンラインニュース法「The Online News Act」が可決されたことが挙げられます。
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Facebook
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Instagram
このオンラインニュース法とはどういったもので、なぜニュースが見られないのでしょうか?
以下にまとめてみました。
目次
オンラインニュース法「The Online News Act」とは
オンラインニュース法はカナダ議会が6月22日に法案可決した、大手デジタルプラットフォーム(MetaやGoogleなど)がニュースを配信した場合、報道機関へニュース使用料の支払いを義務づける法です。
大手デジタルプラットフォームは、カナダ国内での年間の売り上げの最低4%を報道機関へ支払うことが義務づけられており、この法案は2023年末までに発効する見込みです。
この法案は以下の全てを満たす大手デジタルプラットフォームが対象となっています。
・1月〜12月までの1年において、総収益がカナダドルで10億ドル以上であること
・カナダでオンラインニュースコンテンツの配信とアクセスに関わる検索エンジンやソーシャルメディア市場で運営していること
・上記の市場で、カナダにおける平均月間訪問者が2,000万人以上、または平均月間アクティブユーザーが2,000万人以上であること
現在、この基準を満たしているデジタルプラットフォームはGoogleとMetaのFacebookだけですが、Microsoftのbing検索エンジンが次にこの法律に該当する可能性が高いとされています。
オンラインニュース法「The Online News Act」の目的
現在、ほとんどのカナダに住む人がオンラインニュースで情報を得ています。
2022年のカナダのオンライン広告収入は140億ドルで、そのうち約80%をGoogleとMetaが受け取っています。
このようにデジタルプラットフォームがオンライン広告で数十億ドルを稼ぐ一方で、広告収入の減少が大きな原因となって閉鎖される報道機関が年々増えています。
カナダでは2008年以来、474の報道機関がなくなり、ジャーナリズム関連の職は3分の1が失われたとのこと。
そのような報道機関にデジタルプラットフォームがニュース使用料として対価を支払うように命じたのがこの法となります。
政府によればカナダ人の69%がユーザーとしてオンラインニュースにアクセスしているところ、その料金を支払っているのはわずか11%だそう。
両社の反応
政府の試算では、MetaのFacebookは年間6200万ドル、Googleは年間1億7200万ドルを支払うことになると見積もられています。
MetaとGoogleは、ただリンクを貼るだけでこれほどの支払いを義務付けられるこの法案を不当だとして以下のように反発しています。
Meta Platforms Inc.
カナダのすべてのユーザーへFacebookとInstagramのニュースアクセスを終了すると6月22日(木)に発表。
すでにカナダ国内でのFacebookやInstagramにおけるニュースの配信は停止されています。
カナダに在住する人はカナダ国外の報道機関であっても、FacebookやInstagramからニュースやコンテンツを見ることができません。
トロントの報道機関
皆さんお馴染みの日本のテレビ局のニュースも、このようにカナダからは見ることができません。
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NHK
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日本テレビ
8月にカナダ各地で大規模な山火事が発生時、多数の避難者が出ているにもかかわらずMetaがFacebookなどで火災に関する情報を提供しなかったとして、トルドー首相が「人々の安全よりも自社の利益を優先している」と非難し対立が深まっています。
しかし、Metaは今後もニュースの配信を停止するという判断に変わりはないとしています。
カナダの報道機関との契約を終了しカナダのニュースをGoogle検索やGoogleニュースから遮断すると6月29日(木)に発表。
法案の発効にあわせて実施されるようです。(2023年10月現在はまだ遮断されていません。)
他の誰もが無料で行っているニュースへのリンクを表示するだけで支払い(いわゆるリンク税)を義務付けられるのは不当だとしています。
オーストラリアでも2年前に同様の法律が発効されましたが、今回のようにGoogleとMetaがニュースを一時的にブロックしたことを受け、修正されました。
両社はカナダの法案でも同じアプローチを取ろうとして、政府に対し建設的なフィードバックを繰り返し提供しましたが、受け入れられなかったといいます。
2023年11月29日に、Googleと連邦政府はオンラインニュース法をめぐる紛争で合意に達しました。この合意により、Googleが報道会社に年間1億ドルの範囲を支払う見返りに、カナダのニュースがGoogleのプラットフォームで共有され続けることになりました。
Googleと連邦政府は、オンラインニュース法をめぐる争いで合意に達したことが明らかとなりました。
カナダのパスカル・セント-オンジ遺産大臣は、「これは歴史的な発展です。」と語っています。https://t.co/mah9OtAoD4— バンクーバー現地情報?? (@LifeVancouver) November 29, 2023
まとめ
このオンラインニュース法は2023年12月末までには施行される見込みで、Metaは今後も配信停止を続けると発表しています。
現在はまだGoogleは利用できますが今後Googleも使用できないとなると、私たちユーザーが得られる情報がグッと減ってしまうのではないでしょうか?