イギリスの有名なストリート・アーティスト、バンクシー(Banksy)をご存知でしょうか。
photo from banksy.co.uk
※アメリカ、ユタ州パークシティにある有名なバンクシー作品のひとつ。
今回は、この謎につつまれたバンクシーについて、そしてトロントの街中にこっそりあるバンクシーの作品と言われるグラフィティをご紹介します。
世界中で注目を浴びるバンクシー(Banksy)
バンクシーは、2018年にはオンタリオ美術館(通称AGO)でも特集展示が行われたことで、トロントでも特に注目を浴びました。
また今年2020年3月15日から横浜でも、「バンクシー展 天才か反逆者か BANKSY GENIUS OR VANDAL?」が開催される予定で、日本でも話題を呼んでいます。
でも、どの展示もバンクシー本人の許可なく開催されているとして、バンクシー自身がその入場料金とともにWebサイトで紹介し、ある意味話題にもなっています。
世界中で特集展示が行われるほど人気のバンクシーですが、本人の許可がないというのには、バンクシーが未だ正体不明の人物という事が理由にあります。
バンクシー(Banksy)とは
バンクシーは、イギリスを拠点とする匿名のストリートアーティストとして、アートや音楽が活発なイギリスのブリストルのアンダーグラウンド・シーンから2000年頃出現しました。
当時から世界中のあらゆるストリート、ビルの外壁、橋など、神出鬼没に表れ、数々のグラフィティ作品を残しています。
もともとのアート・スタイルがグラフィティという犯罪行為のため、身元は未だはっきり公表されておらず、7人組のアーティスト集団とする説や、イギリスのトリップ・ポップ・バンド、マッシブ・アタックのメンバーの一人だとする説など、憶測は様々。
photo from banksy.co.uk
※バンクシー本人として表に出る時は覆面姿
作品の主なスタイルは、ステンシルアートという、型紙を用いたグラフィティで、反資本主義や反権力など政治色が強く、風刺的でダークなユーモアさに溢れています。
モチーフには、ネズミが描かれることも多く、バンクシー自身を表現しているとも言われ、世界中の至る所に描かれた小さなネズミたちは、バンクシー・ラットと呼ばれています。
また、MoMA、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館などの館内に無許可で作品をこっそり陳列したり、反逆的なパフォーマンスも多く、バンクシー自身は芸術テロリストと呼ばれることも。
作品はもちろん、そのパンクなスタイルや、謎に包まれた姿で、世界中に多くのファンをもつアーティストです。
トロントの5つのバンクシー作品たち
そんなバンクシーは、トロントにも2010年に出没して街中に作品をいくつか残しています。
残念ながら、そのほとんどは落書きとして消されてしまいましたが、2つだけ残る作品があります。
ここでは、トロントの街中にこっそりある、または過去にあったバンクシー作品たちをご紹介します。これらは、バンクシー自身制作のドキュメンタリー映像でトロントを訪れた時期と出現が重なっていて、本人が作品を否定してないもの、またはWebサイトなどで本人が認めている作品です。
現存するバンクシー2作品
1:警備員とバルーンの犬(ワン・ヨークの地下街)
こちらは現在、One York Streetの地下街PATHに展示されてあります。
もともとは、この横にあった建物の裏通りの壁面にこっそり描かれていたもので、新しいビルの建て替えの際、建設会社の人々がバンクシーの作品だと気づき、その部分のコンクリートだけを残して現在の場所に展示されることになりました。
2:壁を見つめる人々(セント・ローレンス・マーケット近く)
photo from LifeToronto編集部
LTスタッフも通りがかりに、たまたま見つけて感動したこちらは、トロントで初めて発見された作品で、自身のWebサイトに掲載されているバンクシー本人公認のもの。
photo from LifeToronto編集部
The EsplanadeとChurch St.の交差点の北西にあるアイリッシュ・パブのビルの裏にこっそりあり、一瞬見落としがちですが、その場所のままで額装されて守られています。
セント・ローレンス・マーケットの近くなので、この辺りを訪れた際にぜひ見てみてください。
消されてしまったバンクシー3作品
3:バンクシー・ラット(スパダイナとフォービーの角)
photo from Lord Jim on Flickr
SpadinaとPhoebeの角のビルのに描かれていたバンクシーを象徴するネズミ。この上からいろんな落書きがされてしまい、残念ながらいまは洗い流されてしまっています。
この作品もバンクシー自身のWebサイトに掲載されています。
ただ、その絵の痕跡はいまもうっすらとわずかに残っているので、この辺りを通ったらぜひ見てみてください。
ちなみにこれと同じネズミの絵が、ダウタウン東の波止場の古い看板の裏にも描かれていたそうです。
photo from Haunted Walk
こちらも残念ながら建物と看板が取り壊されてなくなってしまいました。
4:“Will Work For Idiot”(ダンダス・ストリート・ウエスト)
photo from Haunted Walk
“Will Work For Idiot(バカどものために働きます)”と描かれたカバンを持つ銀行員のこの絵は、バンクシーらしい反資本主義を象徴したグラフィティ。
ダンダス・ストリート・ウエストの住宅街の裏通りに描かれていました。こちらも残念ながら今は消されてしまっています。
5:“0% interest in people”(スパダイナ)
上記と同じカバンを持つ銀行員の絵柄で、こちらには“0% interest in people(人間に興味なし)”と、資本主義を表現するInterest(利息)という意味も含むバンクシーらしい皮肉が効いたグラフィティ。
こちらも残念ながら描かれてすぐに消されてしまっています。
日本でも注目されたバンクシー・ラット
以上の5点が今のところ、トロントで見つかっているバンクシーのものとされるグラフィティ作品です。
昨年は、東京でもバンクシー・ラットが発見され、東京都知事の小池知事がツイッターでも紹介していました。
あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです。 pic.twitter.com/aPBVAq3GG3
— 小池百合子 (@ecoyuri) January 17, 2019
こちらも、バンクシー本人のWebサイトにも掲載されています。
もともとアンダー・グラウンドなアーティストだったバンクシーは、昨今特に注目されるようになっています。
もしバンクシーの活動に興味があったら、Banksy公認Webサイト・インスタグラムをチェックしてみてくださいね。