国保や年金はどうなる?日本一時帰国時に「住民票」を戻す利点と発生する義務

  

カナダに長期滞在もしくは移民をした場合、海外転出届けを出して、日本の住民票を転出していますよね。

しかし!
日本への一時帰国時に、住民票を日本に一旦戻す人も少なくありません。

その理由とは・・・??

今日は、実際に日本への一時帰国時に住民票転入届を行った経験をもとに、住民票を日本に戻すための条件や手続き方法、「国民健康保険」「年金」「児童手当」などに関連する利点とそれによって発生する義務についてまとめてみました。

*LTスタッフの実家がある都内の自治体に確認をして本記事を作成しました。
市区町村によってルールや必要書類・手続き方法などが異なることがあります。

1. そもそも一時帰国で住民票を戻せるの?その条件とは?

住民票

結論から言うと・・・

●一時帰国時に住民票を戻すことは可能です。
●しかし、「どれだけの期間日本にいれば住民票を移せるか」は、はっきり定義されていません。

一般的には、日本の実家など、その場所に「生活の本拠(拠点)」を移す場合には、住民票をその場所に移す(転入する)ことができます。しかし「生活の本拠(拠点)」の定義にはっきりと期間が定められておらず、自治体によって対応が大きく違うようです。

「生活の本拠(拠点)」は、その人の事情で異なります。何を根拠として生活の拠点と見做すかについては、学説上の解釈ですら明確なものではなく、主観と客観の微妙な狭間に存在しています。つまり、ある程度の客観的な根拠があれば、本人の主張(~だから、ここが生活の本拠とする主張)を誰も否定することは、できません。

住民票.com

私の手続きを担当してくれた役所の方によると、

・数週間だけの滞在で日本に住民票を戻す人は滅多にいないけれど、それがダメという訳ではない
・逆に半年以上日本にいても、本人が日本に拠点を移していないと主張するのであれば、住民票を日本に戻す必要はない

とのことでした。

ただし、対応は自治体によって大きく異なるのが現状で、「数週間や数ヶ月の日本滞在では住民票を移せない」としている自治体も少なくありません。必ず、一時帰国先の自治体に確認をしましょう。

転入届を出す場合は、日本へ帰国した日から14日以内に手続きをすることになっています。

2. 住民票を日本に戻すための手続き方法と必要書類

住民票

手続きは、各自治体の役所窓口で行います。
私が実際に手続きを行った際の流れは、以下の通りです。

【住民票転入手続きの流れ】
1. 役所内の窓口で「住民異動届出書」の用紙を記入
(住民票の写しなどが必要な人は、「住民票の写し等交付請求書」も記入)
2. 順番を待って窓口で申請書提出、必要書類の提示(下記参照)、簡単な質問に答える
3. 住民票が発行されるまで10分ほど待ち、窓口で住民票発行料(この自治体では300円)を支払って住民票を受け取る
4. 続いて「年金」および「国民健康保険」の手続きをするよう、違う窓口へ案内される

この日は混んでいなかったので、上記の手続きは30分以内で終わりました。

【住民票転入に必要な書類】
・転入届(役所内のカウターに用意あり)
・パスポート
  ※今回日本へ入国した際の入国スタンプが必要
  ※最初に海外へ移った際の出国スタンプがあればなお良し
・戸籍謄本
  ※事前に日本にいる家族に代理で取得しておいてもらうことも可能
  ※自治体によっては、本籍地と転入先が同じであれば不要
・マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード(所有者のみ)

自治体によっては、「印鑑」「戸籍附表(本籍地と転入先が異なる場合)」なども必要になります。必ず事前に問い合わせをしましょう。

3. 住民票を移す利点

●「国民健康保険」で、日本での医療費が1〜3割負担に

国民保険

住民票を移す大きな利点が、国民健康保険への加入でしょう。
国民健康保険に加入すると、医療費の患者負担割合が1割〜3割になります。
(割合は、年齢や収入などによって異なる)

住民票の転入手続きが終わった後、役所内で国民健康保険の申請手続きをすると、その場で健康保険証を発行してくれます。

保険証は、「日本へ入国した日=住民票を得た日」が発行日になるため、本手続き前に病院へ行き100%の医療費を支払った場合でも、後日この保険証を持って病院で手続きをすると(3割負担の場合は)7割分が返金されます。
(病院で一先ず全額を払い後日保険証を持って行く場合は、その旨を予め病院に伝えておきましょう)

カナダと日本の医療制度の違い

ー「歯科」「眼科」の保険取扱い
カナダでは州によって医療保険制度が異なりますが、通常の医療保険には「歯科」や「眼科」の治療費が含まれないので、自費では高額な治療費になることが知られています。日本で受診をすると、3分の1以下の料金で済むことも珍しくありません。

ー「専門医」への受診
カナダではどんな症状や怪我でも、まずは一般医やファミリードクターを受診することになっています。耳鼻科や婦人科など専門医は、一般医やファミリードクターの紹介状を持って受診します。
医療保険に加入しているとこれらの一連の受診はカナダでは無料ですが、こうした専門医の初診までには半年以上待たされることも。日本では多くの場合、直接すぐに専門医に診てもらうことができます。

ー処方箋薬医薬品の保険適用
例えばここカナダ・オンタリオ州の医療保険”OHIP“に加入していると医療費は無料になりますが、処方箋医薬品には医療保険は適用されません
しかし、日本の国民健康保険は、処方箋でもらう薬も対象です。
これは、継続して常用薬を服用しなければならない人には大きな出費の違いですね。

ー「健康診断」のシステム
日本では健康診断は通常保険適用外ではあるものの、自治体によっては、「◯歳以上の住民の健康診断は無料」等になっているところもあります。また全てがセットになったコースが揃っていて、受診〜結果報告までを日本語で受けられるのも嬉しいですよね。健康診断で問題があった場合には、すぐに対象となる専門医に診てもらうことができ、その場合の治療費はもちろん保険対象となります。
一方カナダでは、そうした自治体による福祉や健康診断サービスなどは、メジャーなサービスではありません。(クリニックによっては企業の福利厚生向けとして健康診断サービスを提供しているところもありますが稀です。)

国民健康保険 https://5kuho.com/

●「マイナンバー」を取得できる

マイナンバー

マイナンバーは、日本の滞在中に短期のアルバイトをしたりする場合に必要となります。また、銀行口座の開設や海外からの送金、保険会社などと契約をするときにマイナンバーが必要になることも。

マイナンバーは2015年10月時点で日本国内に住民票がある人に発行されているので、それ以降に日本へ住民票を移したことがない方は、マイナンバーがないはずです。
一時帰国の際に住民票転入手続きをすると、約3〜4週間で「マイナンバー通知カード」が入った簡易書留が届きます。

オンラインなどで本人顔写真が載っているICチップ付きカードマイナンバーカード」を作成すると、身分証明証としても使うことができます。なお、初回の作成料は無料ですが、別途申請が必要になります。

内閣府:マイナンバー(社会保障・税番号制度)http://www.cao.go.jp/bangouseido/

●子どもの医療費が無料/割引になる「乳幼児医療費助成」

一時帰国
自治体によって制度の名称や対象年齢などの条件は異なりますが、日本では「乳幼児医療費助成」が充実していて、対象となる乳幼児の医療費が無料もしくは安くなります。
自治体によっては、中学3年生までが助成の対象になっていることもあります。
お子さん自身が健康保険に加入していることが必須の条件になります。転入先の自治体で手続きをして「乳幼児医療証」を発行してもらうことが可能です。

●「児童手当(子ども手当)」の支給

児童手当
中学校修了前(15歳になった最初の3月31日まで)の児童の父もしくは母に対して支払われます。自治体によって手続き方法は異なりますが、毎月決まった額が4ヶ月ごとにまとめて振り込まれます。
前年の所得が所得制限額未満だった場合、東京都渋谷区の児童手当のホームページによると以下の額が支給されます。(2018年6月時点)

3歳未満(1人につき) 15,000円
3歳以上から小学校修了前まで 10,000円(第3子以降は15,000円)
中学生(1人につき) 10,000円

4. 住民票を移す事により発生する義務

●「国民健康保険料」の支払い

健康保険
国民健康保険に加入すると保険料の支払いが必要になります。
国民健康保険料は保険加入日から対象となりますが、同月内の転入・転出時には、その月の最終日一日前までに転出をした場合は、保険料が発生しません。
例えば1月1日〜1月30日まで住民票を戻した場合は、保険料の支払いはゼロ。1月1日〜1月31日まで住民票を戻した場合は、1ヶ月分の支払いとなります。

ただし、日本での収入によって支払い額も変わってくるので、日本国内での収入が無い場合は一番安い保険料が適用になります。

●「住民税」の支払い

住民税

1月1日時点で日本に住民票があった場合、住民税の支払い対象となります。
例えば4月〜同年11月まで日本に住民票を置いた場合は、住民税支払いの対象になりません。
また、前年度に日本国内の収入が無かった場合は、住民税の支払いは0円になります。

●「国民年金」の支払い

国民年金
海外在住中に日本の国民年金に任意加入していない方は、住民票を戻す=国民年金への加入が必須となります。

一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合(住民票への登録)でも、その期間については強制加入被保険者となりますので、手続きが必要になります。

日本年金機構〜帰国した時の手続き

 
国民年金の支払いは転入日の月から対象となり、月単位で支払いを行います。
ただし、納付の免除・猶予制度があるため、『国民年金保険料 免除・納付猶予申請書(PDF)』を提出することで、前年度に日本国内での収入が無い場合などには年金の支払いは免除となります。

しかし、申請をしてから審査に受かり決定通知書が送付されるまでに数ヶ月かかることもあります。住民票を移したらすぐに年金免除・納付猶予の申請をしましょう。
また申請の対象は7月から翌年の6月までの12カ月間となるので、例えば5月〜7月の3ヶ月分の免除申請をする場合は、2枚の申請書が必要になります。

●子どもの就学が義務に

体験入学

住民票を移すと、先に紹介した「乳幼児医療費助成」や「児童手当」などの手当がある一方、就学の義務が発生します。日本への滞在中に子どもを学校に通わせることは素晴らしい経験になることは間違いありませんが、限られた日本滞在中に旅行や家族・親戚訪問などを考えている方は、子どもを毎日学校に通わせるのは難しいかもしれません。
住民票を転入した後に子どもを学校に通わさないでいると、市町村や教育委員会から連絡を受けることがあり、最大10万円の罰金に処されることもあります。(参照:文部科学省-就学義務履行の督促について

日本の学校に子どもを「体験入学」させたい場合、住民票が日本になくても快く受け入れてくれる学校が多いようですので、住民票を転入した方が良いのかどうかは、しっかり検討したいですね。

5. カナダに帰国する際は、忘れずに「転出」を

帰国

一時帰国時に住民票を「転入」した場合、カナダへ戻る際に「転出」の届け出が必要となります。
日本を出る14日前〜前日までに「海外転出届」を提出するのがベストです。
転出届を提出できるのは、本人、世帯主、または本人と同一世帯の人に限ります。万が一転出届を提出し忘れてカナダに戻った場合は、日本にいる家族などにお願いすることができますが、委任状が必要になります。

海外転出届を提出すると「国民健康保険」の加入は抹消されるので、自治体に国民健康保険証を返納する必要があります。また「国民年金」の加入義務も無くなります。任意で国民年金に加入し続けたい方は、別の手続きが必要です。

各ルールは自治体によって異なるので、
住民票を転入する際に、転出時の手続き方法についても確認しておきましょう。


海外からの一時帰国時に住民票を移す利点と義務について、いかがでしたか?

一時帰国の際には、理由・期間などその時の状況によって、「住民票を戻すか戻さないか」をしっかり検討したいですね。

一時帰国前に、日本にいる家族などを通じて滞在予定の自治体に手続きの詳細を予め確認することを強くお勧めします。

*本情報は、2018年8月現在のものです。また、自治体によってルール等が異なることがあります。
必ず最新の情報を各自治体へご確認ください。

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