カナダ全土で「トランス脂肪酸」の食品添加が禁止に!(2018年9月から)

  

マーガリンや調理油などに含まれる、「トランス脂肪酸」

「トランス脂肪酸」を多量に摂取した場合、肥満や心臓病などのリスクが上がるなど、健康への悪影響があると言われています。

特に北米では深刻な肥満問題もあり、トランス脂肪酸の制限もしくは禁止について議論がされてきました。

そしてついに先日、カナダ保健省が、「カナダ国内で、トランス脂肪酸の使用を禁止する」ことを発表しました!

この法律は、2018年9月15日に施行されます。

※厳密には、人工的に作られるトランス脂肪酸の主な原料である部分水素添加油脂(硬化油)(PHO:Partially Hydrogenated Oil)が禁止されることになります。詳細はこちら

カナダの一部報道によると、トランス脂肪酸を含む油脂の使用禁止により、
20年間で約12,000件もの心臓発作を防ぐことができるとしています。

▶︎人工のトランス脂肪酸が含まれている食べ物は?


水素添加によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。

また、植物から油を絞る際には、精製する工程で好ましくない臭いを取り除くために高温で処理を行います。この際に、植物に含まれているシス型の不飽和脂肪酸からトランス脂肪酸ができるため、サラダ油などの精製した植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれています。
農林水産省のウェブサイトより

▶︎影響大!?輸入食材やレストランの食材も対象

potato fry

この法律が施行されると、カナダでは国内産・国外産問わず、部分水素添加油脂(硬化油)PHOsを含むいかなる商品も取り扱いが禁止となります。
レストランなどでも、PHOsを含む食材は一切使用できなくなりますので、多くのレストランやスーパーでは取り扱い商品の見直しが必要となるでしょう。

▶︎ブリティッシュコロンビア州ではすでに制限あり。

Lifestyle

カナダのブリティッシュコロンビア州(BC州)では、2009年の9月からトランス脂肪酸に関する規制が施行されていたのをご存知ですか?

健康志向の人が多いBC州は、カナダで最初にトランス脂肪酸に関する対策を実施した州です。
この規制では、食品中のトランス脂肪酸の含有量について上限値を設定していました。

▶︎アメリカでも、トランス脂肪酸の食品添加が禁止に

Made in America, Probably

お隣のアメリカでも州や市ごとに様々な政策が取られ、トランス脂肪酸について加工食品の栄養表示が義務付けられています。加えて2018年6月18日からは、『部分水素添加油脂(硬化油)の食品への使用規制』が適用されます。

日経新聞|米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HQH_X10C15A6000000/

アメリカのFDA(食品医薬品局)によると、アメリカ人は一日約1グラムのトランス脂肪酸を摂取していると言い、
トランス脂肪酸を禁止すれば、毎年約20,000件の心臓発作、約7,000件の死を防ぐことができるとされています。

▶︎日本では、トランス脂肪酸の上限値設定や表示義務はあるの?

Donuts !

“日本において食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や含有量に関する基準値はありません。また、トランス脂肪酸だけではなく、不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどの他の脂質についても表示の義務や基準値はありません。”
農林水産省のウェブサイトより

カナダは、2006年にトランス脂肪酸の栄養表示を世界で最初に義務付けた国ではありましたが、その後のトランス脂肪酸含有量の制限や使用禁止については、長らく規制が先延ばしされてきました。

今回、カナダ政府がついに法律を制定したことで、カナダでは賛成的な意見が溢れているようです。

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